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2007年11月03日(土) 10時00分

モルガン提携でもささやかれるサッポロの前途多難日刊ゲンダイ

 スティールを嫌ったサッポロホールディングス(HD)。でも選んだのは、やっぱり「ファンド」だった——不動産事業で米モルガン・スタンレー証券と提携、飲料事業でクレセント・パートナーズと提携するという。
 ただ、“緊急会見”と呼びかけたわりには、肩透かしの感は否めない。提携の具体的な内容はこれから。なのに、同時に発表された「グループ新経営構想」では、創業140周年の2016年を目標とした景気のいい数字が並ぶ。連結売上高6000億円は、07年見込みの3割増、連結営業利益に至っては、400億円で07年見込みの3倍増だ。現在進行中の中期経営計画(06〜08年)を、「達成が非常に難しい」(サッポロHDの村上隆男社長)というのに、9年後のベラボウな目標数字には、記者から「裏づけはどうなっているのか」と質問が飛んだ。
「スティールや株主にアピールするのが目的の大風呂敷じゃないか」(出席した記者)
 モルガンは、恵比寿の不動産の15%相当分を500億円で買い、サッポロHDの株式も来年6月末までに5%取得する予定だ。
「500億円もの資金調達ができるのは大きい。ライバル他社と比べて弱い営業力の強化などにも利用できる。それにしても、サッポロはやっぱり不動産の会社だと、より強調する結果になりました」(経済ジャーナリスト・永井隆氏)
 サッポロはモルガンについて、ノウハウの高さとともに、「恵比寿ガーデンプレイス開業以来、テナントとして入ってもらっている」(村上社長)と、親近感を表した。しかし、相手はドライな米国企業。金融関係者からは、警戒する声も聞こえる。
「かつてスティールは、不動産に戦略的な買い手が現れれば、サッポロ株売却の可能性もあると示唆している。スティールの保有する18%が、そっくりモルガンへ移るなんてシナリオも考えられなくはありませんよ」
 気付いたらモルガンのペース、なんてことにならなきゃいいが。

《ストップ高865円》
 モルガンが市場でサッポロHD株式を買いつけるということもあり、提携をマーケットは、ひとまず好感した様子。サッポロHD株は、31日午前、100円ストップ高の865円まで買われた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071103-00000014-gen-ent