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2007年11月03日(土) 08時07分

横浜市、私道に過大課税32年間 認識後も返還せず朝日新聞

 横浜市が約32年間にわたり、同じ町内会に住む約120世帯から私道の固定資産税を過大に徴収していたことが2日、明らかになった。市側は02年度にミスに気づき、03年度以降は減額したが、過去の過大徴収分は返還せず、住民に説明もしなかった。今年9月に住民側の指摘で発覚し、過大徴収分は数千万円に上る見通し。市は謝罪し、出来る限り返還するとしている。

 過大徴収されていたのは、同市神奈川区片倉2丁目の片倉第一町内会(約190世帯)の住民約120世帯が所有する私道部分の固定資産税。

 同市は70年度から、民間の所有地のうち、私道部分の固定資産税を減額する「私道補正」制度を導入し、70〜84年度は50%、85年度以降は90%を減額している。

 片倉第一町内会は58年に造成された団地。だが私道補正制度が導入された70年度以降も、私道の固定資産税は減額されないまま放置されていた。その間の市による実地調査でも見逃されていた。

 02年、同町内会が私道を市に寄付して市道化することを申し出たのをきっかけに、市側は課税ミスに気づいた。だが、市側は「暫定的な措置として固定資産税を減額評価する」と説明して、03年度以降は私道補正分の減額をしたものの、以前に取り過ぎた分の返還にはまったく触れなかったという。

 今年9月、各地の自治体に私道補正制度があることを知った住民代表が、市役所や区役所に何度も尋ねたところ、同月下旬、長期にわたって私道補正してこなかったことを認めたという。

 過大に徴収された金額を試算すると、02年度分が約160万円、台帳が残る97〜02年度が計約960万円にのぼるという。

 住民側の窓口になっている神奈川区役所の税務課は、02年度の段階でミスを説明しなかった点について、「将来への見直しだけを考えて、過去のことに思いが及ばなかった」としている。同区の宮崎景区長らは10月、町内会が開いた2度の緊急総会の場で謝罪し、「できる限り現在の制度の中で返還できるものを返還したい」と述べた。

 住民側は「悪質な隠蔽(いんぺい)だ。他でもミスがあるはずだ」と不信感を募らせている。

 横浜市の過って納められた税金を返還する場合の要綱では、台帳保存期限の10年までが返還範囲とされる。さらにさかのぼって返還を求める場合は、住民側が領収書などを示さなければならない、とされている。

http://www.asahi.com/politics/update/1102/TKY200711020493.html