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2007年11月03日(土) 09時25分

大連立構想における仮説ツカサネット新聞

自民党の福田総理が民主党の小沢代表に連立構想を持ちかけた。この出来事は数時間で、小沢代表から「断り」の電話が入ることで収束したかに見られるが現時点(2日)で、正確に事態を把握している人は、当の2人を除き、党内にも政治記者にもいないと思われる。

そこで、私は、仮説として「この仕掛けは小沢氏だ」という前提で考えてみたい。そもそもなぜ、2人の党首会談が実現したのかが今も明確でない。どちらから申し込んだかが明らかでないし、安倍前総理の時のように総理の意向を受け、国対が実現に動いた形跡もない。
「一国の総理が会いたいといってきたんだから断れないでしょう」小沢氏のコメントだがそれならなぜ安倍氏には会えなくて、福田氏に会う気になったか。それは小沢氏の党内事情にある。

小沢氏も安倍政権の頃には、参院選の余勢をかって衆院選挙で一気に勝利し、民主、社民、場合によって共産まで入れた連立政権樹立を本気で考えたに違いない。しかし、福田政権に変わり、また内閣支持率が50パーセントまで、戻ってしまった。そのうえ、「ISAFに自衛隊を派遣する」と言えば、社民、共産はもとより民主党内からも異論の大合唱だ。
「党の決定に従えないやつはでていけ」ついに本音が出てしまうと同時に、こうも思ったのではないか「これで衆院選挙で勝利し連立を組んでも、とてもまともな政策は実現できない」と。保守政治家として不本意な政策しかできない「民主、社民、共産政権」よりも「自民+民主+公明」の大連立政権の方が小沢氏個人にとって、かねて持論の「普通の国」への実現がたやすいのは目に見えてわかっている。ただし、小沢氏周辺の鳩山、菅氏らがついて来ないのは火を観るより明らかだ。

だから今日、福田首相から連立を持ちかけられて(あるいは持ち掛けさせて)すぐ席を立たず、党に持ち帰ったのは、党内の味方と温度を測るためだった。そして、党の役員会で、連立反対の役員の顔色を見ながら、一緒に党を割れるやつを探していたのではないか。
きょうの党首会談は、午後3時から始まって、中断をはさみ、午後7時半近くまで続いた。ただ、連立を持ちかけるだけならこんなに時間はかからない。会談の中では、きょう小沢氏が党内に結論を持ち帰り「断った」後の展開まで、話し合われたと見るのが自然ではないか。

政治の動きは、一定方向に動き始めると加速度がついて、不可逆的になる。今回、小沢氏が求心力と遠心力という両方の力をかけた。これで、民主党内は、過去に数々の政党で繰り返してきた「小沢派」と「反小沢派」の闘争が始まることだろう。そして、小沢氏が多数を握れば、大連立構想の第2幕がいずれかなり近い時期に再び、始まると思われる。


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(記者:草莽メディア)

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