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2007年11月03日(土) 08時47分

ドラゴンズ日本一 影の殊勲者ツカサネット新聞

中日ドラゴンズが日本一に輝きました。53年振り、ドラゴンズファンにとっては待ちに待った日本一。53年待ち続けたオールドファンも初めて味わうファンも、胴上げされる落合監督と自分を重ねたことだと思います。

MVPに中村紀洋。去年、オリックスで自由契約になり、育成枠での中日入団を考えればあまりに劇的な締めくくり。インタビューで流した涙はこれまでの万感の思いが集約されてのものです。マウンドで飛び跳ねる岩瀬に真っ先に駆け寄ったのも彼でした。

シリーズ第一戦はダルビッシュとセギノールの個の力に負けたものの、以降はチーム力の差を見せ付け4連勝でシリーズを制した中日ドラゴンズ。シリーズMVPに輝いた中村選手も多大な貢献を果たしましたが、それと同等の仕事をした選手も実に多かった。
第二戦、三戦で好投を見せた中田、朝倉の両投手、一番打者としての役割を果たし、優秀選手賞に輝いた荒木。同じく優秀選手賞に選ばれた森野もシーズン同様、勝負強かった。優勝を決める一戦で8回までパーフェクトピッチングを見せた山井。彼も同賞の受賞者です。不動の守護神として抜群の安定感を見せた岩瀬も貢献度は高い。

優勝を決めた第五戦。9回に山井を替えたことに驚くファンや怒りを覚えた方も多いでしょう。私もその一人です。
8回を投げ86球。相手は下位打線。日本シリーズ史上初の完全試合達成への下準備は整っていた場面でしたが、落合監督は動じない。1点差、これを逃せば地元での胴上げはない、そして信頼出来る守護神が控えている。
この交替を非常だと言う方も多いかと思います。偉業達成を待ち望んだファンがどれだけ多かったことか。現に投手交代を告げる前、それを察したファンは山井コールで講義します。
もし、この試合を落としたらファンが離れてしまうかもしれない。そんな場面で岩瀬はマウンドに登り、日本ハム打線を三人で締め日本一を掴みます。

53年振りの優勝。パーフェクトリレーは日本シリーズ史上初の偉業です。完璧な投球を見せた先発の山井、壮絶なプレッシャーの中投げ抜いた岩瀬。そしてもう一人、欠かせない人物がいます。捕手の谷繁です。
彼はこのシリーズ、全ての試合、全てのイニングでマスクを被っています。中日は今シリーズ44イニングで7失点。この成績は投手陣はもちろん、彼の勲章でもあります。
通常、捕手はデータを元に配給を組み立てます。色々な状況を想定してあらゆるデータを取りこむのですが、頭に詰め込むのには限界がある。まして対戦する機会の少ないパ・リーグの球団なら尚更です。
そこから先は打者の構えや力の入れ具合、ボールへの反応など、一球ごとに打者を観察する洞察力や勝負勘がモノを言います。そして谷繁はこの感覚が非常に鋭い捕手なのです。
シリーズを通じて、彼のリードは冴えていた。敗戦した第一戦にしてもセギノールにホームランを浴びて以降はヒット1本に抑えている。打っても自分の前の打者が敬遠された後、タイムリーヒットを放つなど男気を見せます。
今のドラゴンズで日本一を知っている選手は彼ぐらいです。試合前、記者から53年という数字の重さを聞かれても彼は「それは今までやってこなかった人達が悪い」とおどけた表情で言ってのけます。横浜時代、38年振りの日本一を経験した実績と誇りがそう言わせるのでしょう。彼の経験も中日にとってはプラスに作用した。個人賞には縁がありませんでしたが、彼なくして日本一もなかったはずです。

優勝監督インタビューで黄金時代の到来ですね?と質問された落合監督は球団がまだ達成したことのない連覇を、と答えています。
来年もまた同じ舞台に戻ってこれるのか。もし戻ってくれば逞しさを増した投手陣をリードする谷繁の姿が見られることでしょう。

おめでとう中日ドラゴンズ、おめでとうファンの皆様。最後にチームを支えた全ての関係者にお疲れ様を。




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(記者:想)

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