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2007年11月03日(土) 23時30分

パキスタンで非常事態宣言 最高裁長官を軟禁か朝日新聞

 パキスタン国営テレビは3日、ムシャラフ大統領が陸軍参謀長として非常事態を宣言し、憲法を停止したと報じた。ムシャラフ氏は参謀長を兼ねたまま10月の大統領選で公職兼任者の立候補を禁じた憲法を無視して立候補し、圧勝。候補者資格を審理してきた最高裁が週明けにもムシャラフ氏に不利な判決を出す可能性があった。今回の動きは、判決を封じて、任期の暫定的な延長を狙った可能性が高い。

 国内には事実上の戒厳令が敷かれている。国営テレビは非常事態宣言の理由などには触れなかった。3日夜にもムシャラフ氏が国民向けに演説するとみられる。一方、民放テレビは、陸軍兵士がチョードリ最高裁長官を軟禁下に置いたと伝えた。陸軍参謀長辞任を条件に、ムシャラフ氏との連携を目指して10月に帰国したブット元首相は3日、家族と会うためドバイに滞在していたが、同日夜、帰国の途についたという。

 10月6日の大統領選でムシャラフ氏は圧倒的な得票で勝利したが、公職兼務者の立候補を禁じた憲法に抵触するとして、対立候補が提訴。ムシャラフ氏と対立してきた最高裁は、立候補を違憲とする判決を出すとの見通しが強まっていた。

 一方、大統領選以降も、イスラム勢力タリバーンの関与が疑われる自爆テロ事件や、軍や治安部隊を狙った攻撃が各地で頻発。10月18日のブット氏の帰国時にカラチで130人以上が犠牲になる自爆テロ事件が起きたほか、10月末にはイスラマバード近郊の大統領執務室近くで自爆テロも発生。治安状況が緊迫していた。

http://www.asahi.com/international/update/1103/TKY200711030223.html