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2007年11月03日(土) 23時11分

架空投資話の元社長ら1500万円の詐欺容疑で逮捕朝日新聞

 パソコンソフトを買えば高額の配当が得られるとうそをつき多額の出資金をだまし取ったとして福岡、佐賀など4県警の合同捜査本部は3日、福岡市の資産運用コンサルティング会社「エフ・エー・シー」の創業者で元社長の黒木博文容疑者(42)や幹部ら計12人を詐欺の疑いで逮捕した。同社の関連団体から政治家に不透明な資金が流れた疑惑も判明しており、捜査本部はこれらについても違法行為がなかったか慎重に調べを進めている。

 他に現社長の松隈茂則容疑者(54)、元社長補佐の山田一清容疑者(63)らが逮捕された。黒木元社長ら少なくとも6人は容疑を否認しているという。

 調べでは、黒木元社長らは06年1月下旬〜同年3月中旬、投資家育成をうたうパソコンソフト(1組100万円)を購入すれば、1組につき毎月5万円を配当すると勧誘し、山口県下関市のアルバイト女性(49)ら4人から計約1500万円をだまし取った疑い。

 福岡県警によると、エフ社は逮捕容疑を含めて島根を除く46都道府県の約8000人から約135億円の資金を集めていたとされる。勧誘の際、「外国為替証拠金取引や発展途上国への投資で利益をあげている」「1年後に解約する際にソフトを返品すれば100万円を返金する」などとうそをつき、出資者を安心させていたという。

 県警は昨年6月、エフ社の本社など十数カ所を出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで家宅捜索。集めた資金はほとんど運用せず、新たに集めた資金を「配当」に回している実態がわかった。捜索時点で同社の銀行口座には数億円しかなく、いずれ行き詰まることは確実で、県警は当初から金をだまし取るつもりだった疑いが強いと判断した。

 また、関連団体のWBEF(福岡市)は、元自民党参院議員(比例)の魚住汎英(ひろひで)氏、衆院熊本3区選出で自殺した松岡利勝・元農水相らのパーティー券を購入。両氏らは同団体のNPO法人格認可を内閣府に働きかけていたとされる。

 エフ社をめぐっては、各地で出資金返還を求める訴訟が起こされている。福岡地裁は4次までの集団訴訟の判決で、出資者177人に計約2億8000万円の返還を命じた。

http://www.asahi.com/national/update/1103/TKY200711030212.html