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2007年11月02日(金) 15時37分

マニア社員は本当にいらない?ツカサネット新聞

『マニア社員はいらない』
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「知識を身につけてしまうと、それが当たり前となり、同じ知識を共有していない人々の気持ちが分からなくなる」という現象のお話です。例として、上記のサイトでは自転車の販売員の話が引用されています。

よくあるお話ですよね。
優秀な大学生が家庭教師のアルバイトをして、ちょっと勉強の出来ない中学生を生徒に持つと、「なんでこんな簡単な問題が解けないの?」なんて頭を抱えてしまうのも、似たような話かもしれません。自分が中学生のときに簡単に出来たものだから、わからない子がなぜわからないのか、本質的な問題に気付くことができないわけです。

さて、最近ではこんなお話を、お客様からもうかがいしました。業務の引継ぎなどに関わるお話です。

「スプレッドシート(マクロなどを組み込んだ表計算ソフトのファイルなど。決算業務などのために担当者レベルで作成することが多い)なんだよね、問題は」
「データの抽出やら集計やら計算やら、マクロでスピーディーに処理できるのは素晴らしいことだ。しかしいくらスピーディーに処理できるからといって、張り切ってすべてをマクロで処理するようなシートを作られてしまっては、その業務はシートの作者にしかこなせなくなってしまう」
「複雑なプログラムが組まれたスプレッドシートは、利用者を選ぶようになってしまう。そんなものでしか業務を行えない状況を作ってしまったら、業務の標準化もできない」
「誰もが理解できる範囲での、誰もが適時適切に修正・更新を加えられるようなものでなければダメなんだ」
「能力の高い人間は、こういった点で時々突っ走ってしまうところがあるんですよ」

というような内容のお話でした。この件に関しては、業務手順書の質の改善や、スプレッドシートに関する規程の整備が必要だなぁ、なんて思ったりしていたわけですが、これもまさしく「知識を身につけている人間だからこそ」起こしてしまう問題なのでしょうね。

ただ、こういう問題が起こりうるからといって、すなわち「マニア社員(知識のある人間)はいらない」となってしまうのは、少しもったいないのかなとも思います。

ある程度のレベルのスキルは、誰でも身につけることができます。しかし、高次のスキルはそう簡単に習得できるものではありません。つまり、「マニア」を育てようと思ったところで、育てるには長い時間が必要なわけです。逆にそういった能力の高い人間が起こしうる問題に関しては、彼らにちょっとした気付きを与えるだけで解決できる、あるいは他の人間が対処すれば解決できるケースがほとんどです。

例えばこのように。

「お前は凄いエクセル使いだよな! でも俺らにはちょっと難しすぎるんだよなー。もうちょっとシンプルにならない? こことあそこはマニュアルで処理しても時間かからないし」
「こっちの作業は○○でもできるだろう。こっちは誰にやらせてもダメなんだが、お前いけるか?」

着目すべきは、知識の多少の良し悪しではなく、「マニア」の希少性とどうやったら彼らに活躍してもらえるか、活躍する場を提供できるか、ではないでしょうか。


(記者:higa)

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