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2007年11月02日(金) 17時00分

「黒字倒産」って、どうして起こる?R25

決算発表の時期になると、時折見かけるのが、“赤字に転落”などの記事。なかには数千億円もの赤字になる会社もあるのだが、簡単には倒産したりしない。ところが世の中には、黒字なのに倒産する会社もある。これは、どういうことなのか。

まず、会社の黒字、赤字は、帳簿上、もっといえば損益計算書上の状態を意味していることを理解する必要がある。例えば、年間の売り上げが1億円、費用が8000万円だったとすると、2000万円の黒字。しかし、だからといって、会社の銀行口座の残高は2000万円ではないのである。

世の中のほとんどのビジネスは、その場で現金のやりとりがされるわけではない。商品を売っても、代金をもらうのは1カ月後、2カ月後というのは普通。これが売掛金。だが、2カ月後に代金が入ってくるとしても、売り上げ自体はその月の帳簿に計上されてしまうのだ。すると何が起こるか。

わかりやすく書こう。今月は1000万円の売り上げがあったとする。支出は人件費や仕入れ代金など800万円。帳簿上は200万円の黒字。だが、銀行口座にはまだ売り掛けの代金は入っていない。これでは支出の800万円は払えない。支払いができなくなれば、信用を失って倒産、手形なら不渡りになって倒産、となりかねないということ。帳簿上は黒字なのに、である。

黒字倒産を避けるために必要なのが、資金繰りだ。売り上げの代金が入金される前に、経費や仕入れ代金の支払いができるお金をプールしておかなければいけない。会社の財務は、いつ、何を、いくらどこに払うか、入金はいつ、いくらあるのかを必ず把握しておく必要があるのだ。これが、キャッシュフロー経営である。そして必要に応じて、銀行などから支払いのための資金調達を行う、というわけなのだ。

逆に赤字でもつぶれない会社は、要は入金が先でも支払いできる余力があるということ。でも余力がなくなれば、倒産は避けられないのは、言うまでもない。
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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