記事登録
2007年11月01日(木) 23時28分

「消費者重視へ転換を」 首相、全政策見直し指示朝日新聞

 福田首相は1日、岸田国民生活担当相を首相官邸に呼び、消費者重視の視点ですべての政策や法令を見直し、年内に緊急対策をまとめるよう指示した。相次ぐ食品偽装事件や耐震偽装、薬害肝炎問題などを受け、生産者重視から消費者重視への転換を、政権の基本に据える考えだ。ただ、省庁の意識改革を伴うだけに、実効性のある政策を打ち出せるかは首相の指導力にかかっている。

 首相は岸田氏に対し、「食べる」「働く」「作る」「守る」「暮らす」の五つの観点から全省庁の政策や法令を総点検するよう求めた。岸田氏が各省庁の対策をとりまとめ、有識者の意見を聞いたうえで、首相に報告する。法改正が必要なものは、来年の通常国会に改正案を提出するという。

 主な見直し対象には、品質表示の適正化や医薬品情報の開示のほか、輸入食品の監視、高齢者らを狙った悪質商法の防止、フリーターを中心にした雇用対策、地域の治安対策などが挙がっている。

 首相は参院選で「生活第一」を掲げる民主党に惨敗した反省などを踏まえ、所信表明演説で「生産第一という思考から、国民の安全、安心が重視されなければならない時代になった」と宣言。「生産者の都合から政策を考える役所の発想を根本から変える」(首相周辺)として、側近と勉強会を繰り返してきた。

 ただ、すべての政策を消費者の視点から見直すという「壮大な計画」(首相周辺)だけに、「テーマが多岐にわたるうえ、生産者側からの発想に染まった官僚に案が出せるのか」(内閣府幹部)と懸念の声も漏れる。「テーマを具体的に設定し、発想の転換を迫らなければ省庁側は動かない」(政府高官)との見方も出ている。

http://www.asahi.com/politics/update/1101/TKY200711010380.html