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2007年11月01日(木) 03時02分

NOVA関連財団、猿橋氏指示で「教材無償配布」虚偽報告読売新聞

 会社更生法の適用を申請した英会話学校最大手「NOVA」(大阪市)から利益提供を受けていた財団法人「異文化コミュニケーション財団」(東京都千代田区)が2006年度、実際には行っていなかった中学校への英会話教材の無償配布事業を行ったとする虚偽の事業報告書を外務省に提出していたことがわかった。

 財団関係者によると、報告書は理事長の猿橋(さはし)望・前NOVA社長(56)の指示で作成したといい、公益事業を行っていると装うことが目的だったとみられる。

 問題の事業は、NOVAの児童向け英会話教室「NOVAキッズ」で使用しているCD付きテキストなどを全国各地の中学校に配布するもの。

 外務省などによると、財団は04年度まではNOVAから外国人講師の派遣を受けた学校に、同様の教材を無償提供していた。しかし、同省は04年9月に財団を立ち入り検査した際、公益法人として、企業の営利事業を側面支援している状況は望ましくないとして、改善を指導したという。

 これを受け、財団では05年度から「国際化時代に対応できる人材の育成」を目的に、NOVAの事業と分離。自治体など公的機関の要請をもとに、中学校に無償配布する独自事業に改めたと説明していた。

 同省に今年8月末に提出された06年度の事業報告書では、東京都杉並区や大阪府枚方市、宮崎県日向市など8市区から要請を受けて114校に計2367冊を無償配布したとしていたが、実際に配布した事実はなかった。また、同時に提出された収支決算書では、この事業の交通費や交際費として、計250万円を支出したことになっていた。

 同財団では、無償配布が虚偽報告だったことを認め、「NOVAで教材が完成したのが今年4月で、配布が間に合わなかった」と説明した。

 収支決算書についても、猿橋前社長やNOVAの経理担当者の指示通りに作成していたとし、「(交通費などとして使ったことになっている)250万円は帳簿上は残っていることになるが、猿橋前社長側で管理しているので、詳細はわからない」と述べている。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe8100/news/20071101i101.htm