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2007年10月31日(水) 15時01分

<NOVA>債務超過隠し 受講料返還の引当金計上せず毎日新聞

 会社更生法の適用を申請した英会話学校大手、NOVA(統括本部・大阪市)が、07年4〜6月期連結決算で既に債務超過に陥っていた疑いがあることが31日、分かった。大幅な受講者の解約が見込まれたのに、受講料金の返還に必要な引当金を計上していなかった。適切に計上していれば債務超過は免れない状態だったとみられる。保全管理人は、前社長の猿橋望氏(56)ら経営陣の法的責任を追及する方針。

 NOVAは、契約ルールを違法とした4月の最高裁判決や、経済産業省による6月13日の一部業務停止命令を受けて、受講者の解約が急増。4〜6月期連結決算は、売上高が前年同期比3割減の92億円に落ち込み、24億円の最終赤字に陥った。その結果、純資産は3億5000万円に減少。総資産(462億円)に対する割合である自己資本比率は0.8%まで低下したものの、債務超過はかろうじて免れた。

 同社は、将来予想される解約に備え、「解約払戻引当金」として07年3月末に18億円を計上。しかし、経産省の業務停止命令を受けて解約の急増が見込まれていたのに、6月末には16億円に減少した。引当金を適正に損失計上した場合、赤字が拡大して純資産がマイナスに転じ、債務超過に陥る可能性があった。

 NOVAは当初、8月10日に決算を公表する予定だったが、「引当額の検討に時間がかかっている」と25日に延期した。しかし、「さらなる引当金の計上は現時点で必要ない」と判断。適切な積み増しを行わないまま決算発表を行った。

 関係者によると、NOVAでは猿橋氏に権限が集中し、決算発表の遅れも、「資金繰りに奔走して連絡が付かなかったのも一因」という。保全管理人によると、現在の債務超過額は「数百億円とみられる」といい、こうした対応の遅れが事態の悪化を招いたとみられる。【井出晋平】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071031-00000073-mai-soci