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2007年10月30日(火) 15時01分

<豊胸手術訴訟>別の女性からも損害賠償請求 脂肪吸引毎日新聞

 茨城県つくば市の美容外科医院で行われた豊胸手術を巡る医療過誤訴訟で、手術2日後に死亡した会社員の女性(当時50歳)の遺族が提訴した東京都品川区の稲吉浩司医師(45)は、同じ医院で脂肪吸引手術を受けた別の女性にも「腹部にでこぼこが残った」として東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こされていたことが分かった。一方、死亡した女性の遺族は訴状で、カルテがなく、手術中に麻酔によるショックでけいれんが起きた後、30分間救命処置が行われなかったと訴えている。

 脂肪吸引手術を受けた女性が提出した訴状によると、女性は05年9〜10月、稲吉医師により、顔のしわ取り手術2回と腹部の脂肪吸引手術1回を受けた。しかし、不均一な脂肪吸引で腹部の表面にでこぼこが残ったと主張、慰謝料など計220万円を求めて今年7月に提訴した。

 また、死亡した茨城県稲敷市の女性の遺族が慰謝料など約5790万円を求めて東京地裁に提出した訴状によると、女性は06年7月15日、約30年前に挿入したワセリンを取り、代わりにシリコーンを入れる手術を受けた。稲吉医師が局部麻酔をした20〜40分後にけいれんを15分間起こし、呼吸が停止。脈拍も感知できなくなったが、稲吉医師は気管挿入や薬剤投与などの処置をせず、約30分後に人工呼吸と心臓マッサージをしただけだった。

 女性は心肺停止状態で市内の救急病院に搬送されたが、2日後に死亡した。遺族は「早期に適切な救命措置が取られれば、重大な結果を回避できた可能性が大きい。カルテが存在しないのは異常」と主張している。【立上修、山本将克】

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