記事登録
2007年10月24日(水) 03時04分

元国家公務員、出向期間中の年金を二重受給…共済・厚生読売新聞

 特殊法人や公庫などに出向した国家公務員が出向期間中に厚生年金と共済年金にそれぞれ加入し、両方の年金を受給しているケースが2006年度末で、推計で約5150人に上ることが23日、財務省の試算でわかった。

 出向期間中は本来なら厚生年金の加入対象で、共済年金には加入できないが、「復帰希望職員制度」が設けられ、可能になっていた。既に制度は廃止され、新規加入は出来ないが、既加入者には、現在も年金が支給されている。「ダブル受給」の共済年金の年間の支払い総額は約11億3600万円と推計され、国家公務員の年金の優遇ぶりが改めて浮き彫りとなった。

 民主党の長妻昭衆院議員が24日の衆院厚生労働委員会で質問する。

 財務省によると、データが存在する1986年以降で、復帰希望職員は3870人(06年度末)おり、共済年金受給者75万7983人のうちの約0・5%を占める。この数字を基にデータがない過去の分も含めて試算すると、復帰希望職員の総数は約5150人に上るという。復帰希望職員の1人当たりの共済年金平均額は年間約181万円で、出向期間中に支払った保険料に対する年金額は年間約20万円。

 出向期間中の厚生年金額も、1人当たりの年間平均額は18万〜24万円程度になり、厚生年金の総額では9億〜12億円になるという。

 出向中の国家公務員の保険料については、出向先の特殊法人などが共済年金と厚生年金の保険料の半分を負担し、職員も半分を支払っていた。長妻氏は「復帰希望職員制度は公務員の特権だ。ダブル受給分の保険料を本人に返還し、年金の受給を一つにすべきではないか」と指摘している。

 復帰希望職員制度は国家公務員共済組合法に基づき、1961年に設けられた。復職を希望する国家公務員が、出向先から元の職場に戻った場合について、「転出の時に退職しなかったものとみなし、引き続き組合員であったとみなす」とし、共済年金に加入できるとしている。79年に廃止されたが、当時、特殊法人などに在職している国家公務員に配慮して移行期間が設けられ、84年に完全廃止となった。また、地方公務員らを対象にした「地方公務員等共済組合法」にも、同様の復帰希望職員制度が設けられていた。

 現行の制度は、国家公務員が特殊法人などに出向する場合、出向期間が5年以内であれば、共済年金の加入を続けることになる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071024it01.htm