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2007年10月11日(木) 13時20分

リアル「死ぬ死ぬ詐欺」? 難病男児かたり募金産経新聞

 架空につくった難病の子供の支援団体を名乗って、1億7000万円もの心臓移植手術費用を募る悪質な呼びかけがホームページで広がり、医療機関や既存の移植支援団体などが胸を痛めている。すでに口座に振り込みをした例も確認されており、関係者らは「詐欺的な行為で悪質」と警察に通報するなど対応策に追われている。
 呼びかけは「おさむちゃんを救う会」を名乗り、少なくとも10月に入ってからホームページで募金を呼びかけている。東京周辺の複数の小中学校のPTAのホームページなどにも、同様の呼びかけをする文面が広く張りつけられているのが確認されている。
 文面によると、子供は東京都板橋区で生まれた生後6カ月の心臓の病気を抱えた男児。日本では子供の脳死移植が認められていないため、渡米して手術が必要といった設定。その上で「埼玉医科大学病院に入院中」「海外での移植手術を目指す患者らを支援する民間団体トリオ・ジャパン(東京都豊島区)の支援を受けての募金活動」と記述され、振込先としてイーバンク銀行の口座番号が表示されている。
 一方、連絡先の電話番号が「設置予定」となるなど、本来の募金活動ではあり得ないずさんな記述も目立った。
 トリオ・ジャパンは、外部から問い合わせを受けて9日に事態を把握。埼玉医科大病院とも連絡を取って該当する男児がいないことを確認し、警察に通報するなどの対応をとった。
 埼玉医科大病院も病院のホームページに10日、該当する患者がいないことを知らせる文面を掲載して注意を呼びかけている。イーバンクも口座凍結などの対応を取った。額は明らかになっていないが「実際の振り込みが確認されている」(同行)という。
 トリオ・ジャパンには外部からは「こんないい加減な募金活動にかかわっているのか」「詐欺ではないか」という指摘が寄せられている。同事務局は「海外での手術には多額の費用がかかるのが現実で、募金などの支援が欠かせない。今回の事態に、まじめな募金活動まで疑いの目で見られないか懸念している。結果的に助かる命にも影響が出かねない」と危機感を募らせている。

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