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2007年10月04日(木) 19時57分

フライデー休刊の真相──この週刊誌がすごいオーマイニュース

 今朝、「オーマイニュース」に来たら驚いたニュースが飛び込んできた。明日発売の「フライデー」が休刊だというのだ。もちろん、この号だけで、来週は合併号を出すそうだが、休刊の理由は、重大な写真の取り違えがあったそうだ。

 どうやら、時津風部屋の“リンチ殺人”にからんだ写真を間違えたようだ。ただでさえ批判の対象になる写真週刊誌だから、編集部には一層の、注意をしてもらいたいものだ。

 週刊誌とは少し離れるが、新聞界が大きく変貌しようとしている。

 「日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社は1日、インターネットと販売の両事業で提携することで合意したと発表した。3社の主要記事や社説を掲載する共同のサイトを来年初めをめどに開設するほか、大阪市の一部や鹿児島県で配達の共同化に取り組み、来年以降に実施する方針だ」(時事通信07年10月1日より)

 この提携の一番重要なところはネットではなく、三社で「販売店を統合」し、他の新聞を排除して、なりふり構わず生き残っていこうとしたことだ。

 あれだけ論調が違っていたはずの朝日と読売が手を結ぶのは、朝日側の家庭事情によるものらしい。ジャーナリズムを捨てても読売と結託し、何としても生き残りたいという強い意志の表れだが、一説には、大株主の社主家である村山家が、朝日に対して反旗を翻すのではないかと戦々恐々として、読売に後ろ盾を頼んだという見方もある。

排除された毎日、産経、東京などのうち、毎日と産経は1日からホームページを大幅リニューアルして、紙よりもWebにシフトしていこうと、意欲的なコンテンツ作りに挑戦し始めた。中でも「産経ニュース」は、1日に秋田地裁で開かれた畠山鈴香被告の第3回公判を、「秋田法廷ライブ」として、15分ぐらいごとに、証人と検察などのやりとりの一部始終を速報した。

 さらに、「記者ブログ」で池田証志記者が、週刊現代の「安倍前首相の脱税疑惑報道を検証する」を書いている。ここで、安倍首相の突然の辞任が、週刊現代が追及していた「3億円の脱税」にあるとする現代の主張を検証しているのだ。

 池田記者はこう書いている。

 「まず、新聞記者の常道として、最重要のポイントから話を始めたいと思います。『3億円の脱税』は、どの税法の違反にあたるのかということです。

 週刊現代さんの話をまとめますと、『故安倍晋太郎氏が息子の晋三氏へ政治団体を通じて資産を相続させた』ということですから、相続税法違反ということになるでしょう。

 相続税は、亡くなった方の資産を譲り受けたさいに発生する税金です。その資産は、亡くなった方、つまり故安倍晋太郎氏のものでなければなりません。が、今回問題になっている資産は、政治団体のものです。晋太郎氏が政治団体に寄付したものですから、その資産は晋太郎氏の所有するものではありません。この時点で、相続税法上の問題は発生しないことになります。つまり、週刊現代さんの主張はすでに成り立ちません。

 もっとも、その寄付が、実際には寄付されていなかった、安倍家の金庫の中に入っていて実は晋三の自宅購入資金に充てられていたというなら、話は別です。が、週刊現代さんはその点については触れられていませんので、残念ながら検証はできません。あくまで、当該記事が明らかにしている情報に基づくと、そういうことです。時効も何も関係ありません」

バッサリ切り捨てているが、これはこれでおもしろく読んだ。なぜなら、これまで新聞は、週刊誌の記事を検証することなどほとんどせず、無視するか勝手に引用するかしかしてこなかったからだ。メディアがお互いに批判し合い、切磋琢磨していかなくては、メディアの将来はないはずである。この批判に対して週刊現代側は何と反論するのか。楽しみにしたい。

 「毎日jp」のほうは、速報に加えて、ブログや地方からの情報ページに力を入れ、市民記者たちの囲い込みも視野に入れているようだ。

 ミャンマーで起きた日本人ジャーナリスト射殺事件は、私のようなジャーナリズムの端っこにいる人間でも、怒りで体が震えた。日本全国で抗議行動が起こっているが、日本政府は、長井健司さん(50)の死因を詳細に調べ、ミャンマー政府に対して「抗議」などという生ぬるいことではなく、援助打ち切りも含めた強い姿勢で臨むべきである。

 テレビで流された映像を見る限り、兵隊に至近距離で撃たれている。撃たれた長井さんは、道に倒れ込んでもビデオカメラを離していない。そのジャーナリスト魂に胸を打たれる。

 「ビデオの最後のカットは、背中に受けた銃弾の衝撃で体が飛び上がり、地面に激しく倒れるまでの空中を泳ぐ映像と思う。そのような映像が世界のメディアに配信されれば、ミャンマー軍政が受ける打撃は極めて大きい。まさに長井さんが命をかけて告発したメッセージなのである」(神浦元彰氏)

 私が所属している「日本ペンクラブ」でも、緊急の非難声明を出す。一人のジャーナリストの死を、無駄にしては絶対いけない。

 今週は、週刊誌に見るべきものがなかったこともあるが、少し離れてしまったことをお許しいただきたい。

(オーマイニュース編集長 元木 昌彦)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071004-00000006-omn-soci