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2007年10月01日(月) 03時03分

<L&G>60人が返金訴訟 口座差し押さえ命令も毎日新聞

 独自の電子マネー「円天」などを売りに、約5万人から約1000億円を集めたとされる健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」(東京都新宿区、波和二会長)グループが、全国の約60人に返金を求める訴訟を起こされていたことが分かった。会員に約束した利息を一度も払わなかったケースがある一方、同社は会員に対し提訴すれば元金が戻らないという趣旨の文書を配っており、訴訟の代理人を務める弁護士は「会社からの締め付けで提訴に踏み切れない人もいる」と話している。
 関係者によると、グループは3カ月で9%(年36%)の利息を払うことを約束して会員から資金を集めていたが、今年2月になって利息を現金ではなく円天で支払うようになった。これに対し、東北や関東、中部、九州などで約60人が訴訟を起こしたという。
 仙台市内の女性(51)は昨年10月、県外に住む知人から「3年間で絶対に2倍になる」と説明を受け、12月までの間に「協力金」などの名目で4回にわたり計806万円を振り込んだ。同社は当初、3カ月ごとに9%の利息を現金で支払い、中途解約にも応じるなどと説明していたが、結局利息は一度も振り込まれなかったという。
 女性は今年3月、協力金全額の返金を求めて仙台地裁に提訴。これに伴い地裁に、関連する口座の仮差し押さえも申し立てた。女性は(1)同社と契約者の間でトラブルが多発している(2)利息の支払いを怠るなど契約者に対し重大な背信行為を行っている(3)マルチまがい商法の可能性が高い(4)同社が倒産の危機にひんしている——などと主張。地裁は申し立てを認め、同月28日に仮差し押さえを命じる決定を出した。女性は訴訟でも返金が認められ、勝訴が確定した。
 一方、同社は提訴の動きが広がった今年春ごろから会員向けに「裁判からは、何の積極的なものは出てきません。騒ぎ立てなければ、元金は保証されております」などと、脅しともとれる文書を配っていた。
 同社関係者は「訴訟で争ったケースでは、基本的に会社側が敗訴している。和解に応じる場合もあるが、最近は和解金の支払いも滞る例が出ているようだ」と証言。会員の代理人を務めた弁護士は「完全に破綻(はたん)するような事態になれば、一気に不満の声が噴出する可能性がある」と指摘する。【伊藤絵理子、曽田拓】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071001-00000006-mai-soci