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2007年09月29日(土) 04時27分

「L&G」5万人から1000億円 仮差し押さえ命令産経新聞

 「円天」と呼ばれる独自の通貨や高利の配当金を支払うと宣伝し、全国から多額の金を集めていた健康商品販売業「エル・アンド・ジー(L&G)」=東京都新宿区、波和二会長=に対し、各地で元金返還を求める訴訟が起こされ、東京地裁が同社の複数の銀行口座に仮差し押さえの命令を出したことが28日、分かった。同社は今年2月から配当の支払いをストップ。出資者は5万人を超えていて、集めた金は1000億円に達するとみられている。

 訴訟を担当した弁護士は出資法違反などの罪で来月にも刑事告訴する動きを見せているほか、捜査当局も情報を収集するなど動向を注視している。

 エル社は昭和62年設立。数年前から「5万9000円を預けると3年後10万円になって返ってくる」「1口100万円以上の現金を預けると、3カ月で9%(年36%)の金利が得られる」などと誘って金を募っていた。

 これとは別に、会員が10万円以上を預けると、同額分の電子マネー「円天」を発行していた。円天はエル社が開くバザーやインターネットサイトなどで、布団や着物、アクセサリーといった商品と交換できた。円天は使った分だけエル社が補填(ほてん)する仕組みになっていたほか、解約すれば元金も戻ってくると説明し、「使っても減らないお金」とアピールしていた。

 さらに全国各地のホテルで演歌歌手やタレントを招いてコンサートを開くなど、積極的な勧誘活動を展開。高齢者や主婦を中心に口コミで人気を集めていて、出資者は5万人を超えているという。

 関係者や会員らによると今年2月、現金で支払っていた配当を円天で支払うよう制度を変更したうえ、解約の申し出も凍結した。その後「9月から来年2月にかけて段階的に出資金を返金する」など説明が二転三転しはじめ、出資金は返ってきていないという。

 配当の支払い停止を受け、全国の消費生活センターには同社に関する問い合わせが相次ぐようになった。これまでに東京、静岡、沖縄などで元金返還を求める民事訴訟が起きている。訴訟を受け、東京地裁は今年6〜8月にかけ、エル社の複数の口座に対し仮差し押さえの命令を出した。担当した弁護士によると10口座で計3000万円ほどしかなく、海外口座などに分散して蓄財している可能性もあるという。

 不特定多数から資金を預かることを禁じた出資法違反の疑いも指摘されている。民事訴訟を担当した都内の弁護士が来月中にもエル社を刑事告訴する方針を示しているほか、東京の弁護士が中心となって被害弁護団を結成する動きも持ち上がっている。

 波会長は産経新聞の取材に対し、「不特定多数から金を集めているのではなく、出資者は会社の趣旨に賛同する株主社員だ。出資法違反には当たらない」としたうえで、「円天を普及させ、世界通貨にすることで経済格差をなくせる」と持論を展開している。

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