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2007年09月16日(日) 12時35分

「南禅寺」のニセ高僧、仏画・数珠売りつける…被害15人読売新聞

 紫色の袈裟(けさ)をまとう僧体の男が、臨済宗南禅寺派大本山・南禅寺(京都市左京区)の僧をかたった偽の名刺を手に、「あなたは病気だ」と高齢者らの不安をあおるなどして、仏画や数珠を高額で売りつけるケースが、京阪神を中心に相次いでいることがわかった。

 高僧に見せかけるためか、足袋まで紫色で決め込んだ男の被害に遭ったのは、今年4月以降だけで約15人。同寺は「寺のイメージや信仰心を悪用した許し難い行為」と、ホームページなどを通じて偽の僧侶への注意を呼びかけ、関係府県の警察も情報収集を進めている。

 同寺によると、男は喫茶店などで客の年配女性らに世間話をしながら接近し、「大本山南禅寺 教師」との肩書や寺の住所、電話番号が入った名刺を手渡し、「祈祷(きとう)してあげよう」と勧誘。さらに、「肝臓が悪い。がんに違いない」などと言いながら、仏の姿が描かれた水彩画や数珠などを5000〜2万円で買わせるが、絵は稚拙で、数珠もガラス玉の安物という。

 同寺は4月、名刺を受け取った1人が男と連絡を取ろうと電話をかけてきたことから、偽の僧侶の存在を把握。男を訪ねて来る人も相次ぎ、調べた結果、大阪、神戸、兵庫県芦屋市などの約15人が僧と信じ、金を払っていたことがわかった。

 男は40歳ぐらい、身長約1・7メートルのがっちり型。同寺では、紫色の衣は「法階」と呼ばれる全12段階の階級中、上位5位までの高僧だけが着用を許されるといい、「紫の袈裟は、徳の高い僧侶を装うためだろうが、紫の足袋は聞いたことがない」とする。

 買った人の中には「仏様の絵を捨てるのは忍びない」と寺に処分を求めて送りつけてくるケースもある。同寺は「うちに送ってこられても困る。境内や関連施設・寺院以外で物品販売することはなく、絶対だまされないで」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070916i203.htm