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2007年06月30日(土) 05時36分

聴覚障害者にマルチ商法 県内でも相談13件読売新聞

県民生活センターへ ソフト代金返還求め

 聴覚障害者に高額なパソコンソフトを売りつけるマルチ商法に関する相談や苦情が、県民生活センターに13件寄せられていたことが分かった。

 同センターによると、苦情や相談があったのは、インターネットゲームのソフト開発・販売会社「ヴィヴ」(東京都千代田区)の商品を購入した聴覚障害者からで、昨年10月から今年5月末にかけて。

 同社は、聴覚障害者同士の紹介を通じて「ソフトを買ってくれる人を紹介すれば、月に8万円の収入になる」などと持ちかけ、1台53万円のオンラインゲーム用のパソコンソフトを販売。聴覚障害者同士のやりとりは手話で行われていたとみられる。中にはパソコンを持っていない人に無理やり売りつけるケースもあったという。

 実際には、ソフトが高額で、知人に売ることができずセンターに相談してきたケースがほとんどで、「53万円を返金してほしい」という要望だった。

 13件のうち昨年11月までに寄せられた相談6件については、同社が全額返金に応じた。12月ごろに寄せられた2件は5万円ずつ返金されただけで、今年寄せられた5件については全額が返金されていないという。

 県立聴覚障害者情報センターによると、聴覚障害者同士の信頼関係は深く、紹介を受けると信用しやすいという。相談してきた聴覚障害者は、センター職員に「知人の紹介だったので信用して購入してしまった」と話しているという。

 大阪府警は27日、特定商取引法違反(不備書面の交付)の疑いで、同社や福岡市の関連会社などを捜索した。同社は3月、営業権をほかの会社に譲渡し、活動を休止したため、今後被害が広がることはないとみられる。

 今年2月には、聴覚障害者に手話を使って投資話を持ちかけ、生活資金などをだまし取っていたとして都内の福祉関連会社の社長が詐欺容疑で逮捕されている。県民生活センターは「聴覚障害者のきずなを狙った悪徳商法は後を絶たない。気をつけてほしい」と呼びかけている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news001.htm