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2007年06月30日(土) 15時03分

<朝鮮総連仮装売買>緒方元長官、銀行に1億円の預金小切手毎日新聞

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部を巡る詐欺事件で、元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)容疑者(73)が中央本部の土地・建物の所有権を得た直後、1億円の預金小切手を作成して銀行の貸金庫に保管していたことが分かった。東京地検特捜部は小切手を押収済みで、中央本部の売買に絡み、総連側から得た資金が原資とみて、元長官を追及している模様だ。
 関係者によると、今回の取引を考案した元不動産会社社長、満井忠男容疑者(73)は4月中旬、総連側から4億8400万円の資金提供を受け、その一部は、緒方元長官が管理する大手銀行の東京都内にある支店の口座に保管されたという。1億円の預金小切手は、この支店が6月6日付で振り出し、支店内にある貸金庫に保管されていた。
 緒方元長官は資金提供と同時期の4月中旬、総連の許宗萬(ホジョンマン)責任副議長(76)や総連側代理人の土屋公献(こうけん)・元日本弁護士連合会会長(84)らと面会。中央本部の土地・建物を35億円で緒方元長官が社長を務める投資顧問会社に売却することで合意した。
 預金小切手の作成日は、投資顧問会社への所有権移転登記を申請した6月1日の5日後で、特捜部は不動産の詐取が完了した後、緒方元長官が総連側から得た資金を別の取引の際に利用しやすいよう、信用度の高い預金小切手に替えて保管していたとみている。
 預金小切手は土地取引の際などに多額の現金を持ち運ぶ必要性がないため、利便性が高い。また、預金してある金融機関から振り出されるため、取引の際に相手方に示すことによって、対外的な信用度を高めることができるという。
 満井容疑者は4億8400万円の使途について▽1年分の家賃相当額▽あっせん手数料▽固定資産税——などと総連側に説明していたが、売買契約が白紙に戻された後も、なお2億8400万円が総連に返済されておらず、緒方元長官や満井容疑者らが流用した疑いが出ている。特捜部は、元長官らが中央本部の不動産だけでなく4億8400万円も詐取した疑いがあるとみて、資金の流れの解明を進めている。
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 朝鮮総連は、未回収となっている2億8400万円の返済を求める内容証明郵便を満井容疑者側に送った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070630-00000034-mai-soci