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2007年06月30日(土) 13時52分

6月30日付 よみうり寸評読売新聞

 性犯罪被害に遭った女性の告訴状、少年事件の捜査資料や捜査協力者の氏名・住所——インターネット上に流出した個人情報は1万2000人分にも上っていた◆警視庁北沢署の巡査長が自宅に持ち帰り、パソコンに取り込んでいた大量の警察情報が、ファイル交換ソフト「ウィニー」を通じて漏れ出した◆繰り返される同様の失態に、警察庁は3月、情報の無断持ち帰りやウィニーの入った私物パソコンの使用を厳禁する通達を出していた。しかし巡査長は「ウィニーはない」とうそを言っていた◆個人情報を漏らされた被害者への、警察組織としての説明と謝罪は当然だ。〈怖くて警察には相談できない〉〈捜査への協力はごめんだ〉といった警察不信の増幅を押しとどめる必要もある◆何より一連の騒動が、〈一切の個人情報は隠すもの〉といった過剰反応に結びつくことが怖い。流出や不正利用の可能性を過度に疑うあまり、自治会や同窓会名簿などの賛同者まで減っていく◆人の顔の見えない「匿名社会」にはしたくない。警察には情報管理を徹底してほしい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070630ig05.htm