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2007年06月29日(金) 10時00分

さらなる社保庁混乱招く「安倍政権の責任転稼作戦」日刊ゲンダイ

 場あたりな悪あがきを続ける安倍政権が、とうとう社保庁の全職員の「夏のボーナス返上」を打ち出した。これ、支持率回復のウルトラCにも見えるが、さらなる混乱を招くだけだ。

 25日夜に記者会見した社保庁の村瀬長官の発表は唐突だった。全職員1万7000人のボーナスの5%から50%を自主的に返納させるというものだ。さらにOBにも同程度の寄付を求めるとしている。
 職員の返納額は、部長などで賞与の2分の1(100万円前後)。この賞与の多さに逆にビックリだが、返納額の見込みは10億円程度だという。
 もちろん、これだけ全職員に及ぶ国家公務員のボーナス返上は前代未聞のこと。言うのは簡単だが、実現できるのか。
「安倍首相や村瀬長官が全額返納の手本を示したし、ある程度は根回しができている。でも、ボーナスの使い道を決めている人や一般職員、さらにOBまで素直に自主返納に応じるのかどうか。相当モメますよ。でも、安倍首相や村瀬長官はそれはそれでいいのでしょう。ゴネる職員が出てくれば、“やっぱり職員が悪い、組合が悪い、幹部以上は従っているのに”とアピールできるわけです」(関係者)

 政治家や幹部だけ“いい子”になり、批判のホコ先を職員に向けさせる姑息なやり方だ。ある官僚OBが言う。
「憲法改正を掲げる安倍首相なのだから、返納させるならさせるで、法律を変えて強制的に返納させればいい。その代わり、全責任は安倍首相が負うことになる。でも、首相は責任を負いたくないから、自主返納という形にして職員に責任を転嫁してしまった。これは卑怯な政治手法。“敗軍の将、兵を語らず”じゃなくて、“兵を語って、兵のせいにする”ですよ。組織的不祥事は最終的にトップが責任を負うもの。それに歴代の社保庁長官は返納にも応じていない。ちょっとデタラメすぎますよ」
 社保庁職員の暴動が始まるんじゃないかという声もあるが、そこまでいかなくとも、やる気をなくしたり、サボタージュで、年金記録照合作業が大幅に遅れることは確実だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070629-00000013-gen-ent