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2007年06月29日(金) 15時08分

<年金問題>社保庁がOB企業と随意契約 3年間で29億円毎日新聞

 社会保険庁が、元職員が設立した事務処理会社に20年以上にわたって、年金情報の入力などの事務代行を随意契約で委託していたことが分かった。委託料は02〜04年度の3年間だけで約29億5000万円に上る。年金記録漏れ問題で情報管理のずさんさが指摘される中、OB企業に独占受注させてきた実態が明らかになった。【野倉恵】
 社保庁などによると、この会社は「SBC」(東京都杉並区)。77年に同庁年金保険部計画課(当時)の元課長補佐が「社会保険ビジネスセンター」の名称で新宿区に設立した。年金記録のオンライン化が始まった79年に、同庁業務1・2課(現社会保険業務センター)が入る同庁分庁舎(杉並区)の近くに移転し、両課で社員が業務を行ってきた。
 主な業務は、年金受給者の死亡情報や住所変更などの入力、遺族への未支給年金受け取り申請書の送付とチェック、本庁と社会保険事務所間のファクス送受信など。
 受注額は、02年度9億3000万円▽03年度9億5000万円▽04年度10億7000万円▽05年度10億1000万円▽06年度7億円。04年度までは全て随意契約だった。
 国民年金の保険料を徴収する携帯金銭登録機の発注を巡る同庁元課長の贈収賄事件が04年9月に摘発されたことなどを機に、同庁は05年度から100万円以上の業務発注は入札で契約している。
 年金記録漏れ問題では、79年にオンライン化を始めた際、同庁業務1・2課で行われた入力ミスも一因とされる。民間信用調査機関によると、同社は業務1・2課のコンピュータ入力データ作成にあたっていた。
 しかし、毎日新聞の取材に同社は「オンライン化に伴う台帳からの年金記録の入力は一切やっていない。長年受注してきたのは専門的能力が評価されたためで、社保庁との癒着はない」と説明。同庁は「長年随意契約だったのは適切でなかった」(経理課)、「オンライン化の際の正確な契約内容は分からない」(同センター会計課)と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070629-00000054-mai-soci