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2007年06月27日(水) 03時01分

学習塾「アンビシャス」、全国16教室を突然閉鎖読売新聞

 高校生らを対象にした学習塾「未来工房 アンビシャス」を運営する「グリーン・フィールド」(森下広一社長、東京都渋谷区)が、全国の16教室を25日からすべて閉鎖するとの通知を受講生に送り、破産手続きを始めていることが分かった。

 既に100万円以上の授業料を払っている受講生もおり、突然の閉鎖で受講生や保護者に動揺が広がっている。

 受講生の保護者によると、通知は25日付で郵送されてきた。1通は森下社長名で、「ご連絡」と題し、「昨年度から中途解約などが増え、経営状態が急激に悪化した」などとして、「25日から事業を全面的にストップし、全教室を閉鎖する」と説明。「破産手続きの申し立てを弁護士事務所に委任した」としている。

 もう1通は弁護士の「受任通知」で、「多額の債務を抱えて返済が困難となった」として、破産手続きを進めていくとしている。

 同塾新宿本部校(渋谷区代々木)に勤務する社員などによると、同校では百数十人の高校生が受講している。23日まで通常の授業を行っていたが、25日に出勤した際、突然、閉鎖すると言われたという。

 26日午後、ビル4階の同校受付前には、教室の閉鎖を知らせる文書が張り出され、受講生や保護者が次々と詰めかけた。張り紙には「本日以降、教室には入れません」などと書かれていた。

 受講生の保護者によると、同校では、1コマ80分の授業でコースが編成され、「スペシャル特訓 3教科型コース」の場合、入会金や年間授業料などで約111万円が必要だ。高校3年生の娘(17)が通っている三鷹市の主婦(50)は、今年1月に約111万円を支払った。「娘は、『これからどうしたらいいのか』と涙を流していた」と憤慨。高3の息子が通っていた都内の会社員の女性(53)も、「1年分の授業料約85万円を一括で支払った。返してもらえるのか」と語気を強めた。一方、同校の非常勤講師も、「同僚からのメールで知った。何も事情を知らされておらず、無責任だ」と当惑していた。

 グリーン社のホームページによると、同社は1981年設立。高校生や小中学生を対象に、東京、札幌、名古屋、広島など計16か所で教室を運営している。

 少子化で学習塾や予備校の経営環境は厳しさを増しており、生き残りをかけた合併・買収や生徒確保のための競争は過熱している。

 今年1月、虚偽の合格実績をチラシに掲載したとして、福岡の学習塾経営会社が公正取引委員会から排除命令を受けた。また、3月には、「個別指導で質問にすぐ答える」などと虚偽の説明をして生徒を集めたとして、経済産業省が東京と静岡の学習塾2社に業務停止命令を出している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070627it01.htm