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2007年06月27日(水) 23時58分

手話で勧誘商法 5000人30億円被害? 2社を捜索朝日新聞

 耳が不自由な人たちに「会員になれば配当が得られる」と誘いかけ、不備のある契約書でパソコン関連商品を売ったとして、大阪府警は27日、ゲームソフト開発販売会社「ヴィヴ」と「ネクストフェーズ」=いずれも本社、東京都千代田区=などを特定商取引法違反の疑いで家宅捜索した。両社は最近3年間で聴覚障害者ら5000人以上の会員から約30億円を集めたとされる。各地の消費生活センターに相談が相次いでおり、府警は全容解明を進める。

 生活経済課によると、2社の経営陣は聴覚障害者らを主な対象に03年9月ごろから、15都道府県でオンラインゲームの事業説明会を開催。手話を使うなどして「事業会員になれば年間9億円にのぼる利益を分配する。毎月8万円の配当がある」「知人や友人に紹介して会員にすれば7万5000円」などと誘い、1セット約53万円のCD—ROMなどを買わせ、クーリングオフの記載が不十分な契約書を渡した疑い。

 だが実際の配当はほとんどなく、CD—ROMには事業説明などが記録されているだけという。経営陣や会員名が重複していることなどから、ヴィヴとネクストフェーズの実体は同一の可能性が高いという。府警は、集めた資金の使途などについてヴィヴの社長(67)や役員(33)らから事情を聴いている。

 両社に関しては数年前から、国民生活センター(東京)や各地の消費生活センターに「解約に応じてもらえない」「配当がほとんどない」といった苦情が相次ぎ、大阪、広島、岡山で被害者救済の弁護団が結成されている。

 大阪地裁は今月19日、大阪や和歌山の聴覚障害者ら19人がヴィヴに求めた損害賠償について、同社側が一度も出廷しなかったため、請求通りの支払いを命じた。

http://www.asahi.com/national/update/0627/OSK200706270117.html