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2007年06月25日(月) 06時04分

北海道加ト吉、余剰コロッケ横流し ミート社に朝日新聞

 北海道の食品加工卸会社ミートホープによる偽牛ミンチ問題にからみ、同社のミンチで冷凍コロッケを製造していた北海道加ト吉(北海道赤平市)が、本来は廃棄すべき余剰コロッケを2年間で最大8万個、ミート社に格安で販売していたことが24日、わかった。ミート社は、賞味期限切れなどのコロッケを安値で仕入れたうえ表示を書き換えて転売していたとされる。道警は、加ト吉側の「横流し品」もその一部に使われた可能性があるとみて捜査する。

 北海道加ト吉の茨木(ばらき)薫工場長(53)が、立ち入り検査に入った農林水産省側に認めたという。同工場長は親会社の加ト吉(本社・香川県観音寺市)からの出向者で、実務面の責任者。道警は、茨木工場長が偽装牛ミンチと知りながら仕入れていた疑いがないかについても調べる方針だ。

 加ト吉によると、茨木工場長は02年4月ごろから約2年間、出荷単位に満たない端数分の業務用冷凍コロッケ計3万〜8万個を1個5〜10円でミート社に販売し、30万〜40万円を得ていた。価格は通常の半額以下。代金は会社会計には計上しないで、社内の懇親費などに流用していたという。

 コロッケはラインで大量生産しており、箱詰めする際に数十個単位で余りが出る場合がある。社内では、商品の安全性確保のため端数分は廃棄することになっていた。

 関係者によると、茨木工場長がミート社の田中稔社長に、余剰分を無料で提供したことがあり、その際に田中社長から「余るならば譲ってくれ」と依頼されたのがきっかけだったという。

 北海道加ト吉が仕入れるミンチの大半はミート社製で、ミート社元役員は「社長と茨木工場長は大変親密だった」と証言している。

 北海道加ト吉が01年4月にミート社を検査した際、実際よりも後の日付の製造年月日を記載する「先付け」という不正が発覚。「取引は再検討せざるを得ない」とする茨木工場長名の抗議文を出したが、結局、取引は続けられたとされる。

 道警は、工場長の行為が業務上横領罪に当たらないか▽食品衛生法などに抵触しないか▽茨木工場長が偽装牛ミンチと知りながら仕入れていた疑いはないか、などについて調べる方針だ。

 茨木工場長は「不正は一切ない」としてきたが、24日は「話せない」とだけ答えた。

 加ト吉は「深くおわび申し上げます。再発の防止と品質管理体制の強化に向けて全力で取り組みます」とコメントした。加ト吉は24日付で、茨木氏の工場長職を解いた。内部調査の進展を待ち正式に処分する予定だ。

http://www.asahi.com/national/update/0624/TKY200706240185.html