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2007年06月25日(月) 14時31分

警視庁情報1万件流出、捜査員数十人が関与か読売新聞

 約1万件に上る警視庁の捜査情報などがインターネット上に流出した問題で、流出源となった北沢署の巡査長(26)に、電子データをコピーさせた上司の巡査部長(32)が、かつて在籍していた同庁組織犯罪対策部の同僚など少なくとも3人から調書や捜査資料をコピーし、記録媒体に蓄積していたことがわかった。

 この3人もそれぞれ、複数の同僚らから捜査資料を電子データで受け取っていたことが判明。秘匿性の高い捜査情報の流出にかかわった捜査員は数十人規模に上り、今後、“ネズミ算”式に増える可能性が高まっている。

 警視庁は問題が発覚した今月13日、全職員約4万6000人に通達を出し、私物のパソコンや記録媒体に入れた捜査資料などをすべて消去するよう指示した。

 しかし刑事捜査の現場では、公判に証人として出廷する場合に備え、捜査資料を自分で保管している捜査員が多い。また、捜査本部が設置される大事件では、本部に派遣された捜査員たちが、資料一式を「記念」として持ち帰る慣行も残っており、電子データの消去を指示しただけでは、抜本的な対策にはならないとの指摘も出ている。

 これまでの警視庁の内部調査では、北沢署の巡査長の私物パソコンから、ファイル交換ソフト「ウィニー」を通じて流出した電子データは、A4判で約6万ページ、厚さ10センチのファイル50冊分に上った。いずれも、上司の巡査部長が私物パソコンの外付けハードディスクに蓄積していたもので、流出源の巡査長は、このハードディスクを巡査部長から借り、中のわいせつ画像をコピーする際、捜査情報もすべて自分のパソコンに取り込んでいた。

 これらのデータは、巡査部長が昨年10月、同署に異動するまで在籍していた組織犯罪対策1課で、供述調書や捜査報告書のまとめ方を勉強する目的で、同僚の捜査員など少なくとも3人から集めていたことが判明。この3人は、先輩の捜査員から「今後の捜査の参考用」として譲り受けた捜査資料を自ら作成した資料と一緒に、巡査部長へ提供しており、うち1人は、同課への異動前に勤務していた小金井署で入手した資料も、巡査部長に渡していた。

 また、この巡査部長は同課在籍中、複数の捜査本部に派遣されており、これらの捜査本部の捜査資料も流出データに含まれていた。こうした捜査本部でも、巡査部長が同僚から資料を集めていた可能性が高い。このため、「流出に関与した捜査員は、ネズミ算式に増える」(警視庁幹部)とみられており、流出経路の全容解明は長期化が予想される。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070625it06.htm?from=top