記事登録
2007年06月25日(月) 15時07分

偽装肉への苦情、「過失」装い保険金請求 ミート社朝日新聞

 偽牛ミンチ問題で強制捜査を受けた食品加工卸会社「ミートホープ」(北海道苫小牧市)が、故意に出荷した虚偽商品でトラブルが起きた際、過失を前提に契約された賠償保険金を申請し、回収費用にあてる行為を繰り返していたことが、同社元役員らの証言でわかった。「状態がおかしい」「牛肉ではないのではないか」といった苦情が来た場合、「製造工程で過失があった」と説明して保険金を受け取っていたという。

 ミート社は最近までこうした方法を続けていたといい、元幹部社員らは「うそが発覚しないよう、苦情が来ればすぐ回収に動いた。企業向けの保険を不正利用した詐欺だった」と証言している。

 朝日新聞が入手した資料によると、ミート社の素材を使って冷凍のビーフカレーをつくっていた大手系列の食品会社が、97年、約7000キロ分を回収し、その費用として、クレーム処理経費を含めて542万円をミート社に請求した。

 ミート社の複数の元幹部によると、同社は牛肉と称してラムのくず肉などを出荷したが、消費者から食品会社に「変なにおいがする」と苦情が寄せられたという。ミート社は「従業員の手違いで間違った」と説明して保険金を申請。320万円分が認められ、食品会社への賠償にあてたという。

 回収した冷凍ビーフカレーはミート社が引き取ったが、廃棄はせず、そのまま関連会社を通じて販売した。数年がかりで売り切ったという。

 元幹部らによると、他にも「ミンチをつくる際、豚や鶏が入っていることがわからぬよう細かくひきすぎて、出荷後、液状になってしまった」「牛肉に見せかけるために家畜の血で赤みをつけたが、出荷後に色が抜けた」といったことがあり、取引先から苦情が寄せられた。ミート社は「当方のミスだった」と謝罪して出荷品を買い戻すなどし、保険金でその費用をまかなうことが多かったという。

 元幹部の一人は「中身を調べられる前に、とにかく謝って引き取るのが方針だった。取引先からは、対応が素早いと逆に好評だった」と話す。保険については「同じ会社に何度も請求すると疑われるので、次々と保険会社を替えた」と証言している。

 保険金を支払った保険会社は「通常の業務の中の過失なら保険金は出るが、故意ならば詐欺行為ともいえる」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0625/TKY200706250212.html