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2007年06月24日(日) 06時07分

「疑義特定できず」農政事務所が文書 ミート社内部告発朝日新聞

 農林水産省北海道農政事務所がミートホープ(北海道苫小牧市)の元役員から内部告発を受けながら長期間放置した問題をめぐり、同事務所が告発から1カ月半後の時点で「具体的な疑義が特定できなかった」とする公文書を作成していたことが23日、わかった。告発者から「偽牛ミンチ」の現物を示されたが受け取らず、追加の聴取もせずに作成したという。

 文書は昨年3月23日付で、農政事務所の表示・規格課長名で、北海道庁の生活振興課長あてに作成された。告発内容をつづった紙を添付した上で「食品表示110番として受け付けた」「具体的な疑義が特定できませんでしたので、参考までに回付します」「了承が得られなかったので情報提供者の名前は伏せる」などと記載している。

 農政事務所は、文書を作成した事実を認めた上で「疑いがないと断定したものではない」とし、ミート社の業務が北海道内だけと判断したため「道庁に調査を依頼するためにつくった」と説明。昨年の9月ごろにはミート社が東京事務所を開設していたことを知り、「その後は水面下で調査を進めた」という。

 これに対し、北海道庁は「農政事務所から、今回の文書を渡された覚えも、調査を依頼された覚えもない」と全面的に否定。内部告発したミート社元役員も「『門前払い』された後、連絡を受けたことはない。いい加減な対応だ」と話す。

 農水省表示・規格課は「情報提供を都道府県に回す際に、こちらの状況を説明することはよくある。『疑義がなかった』とこちらで断定していたわけではない」と釈明している。

http://www.asahi.com/national/update/0623/TKY200706230296.html