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2007年06月24日(日) 03時07分

<暴力団排除>東証、都道府県警が連携強化へ毎日新聞

 暴力団が上場企業の経営に介入したり増資などに乗じて資金を獲得したとみられるケースが相次いでいることから、東京証券取引所(東証)は、全国の都道府県警との間で暴力団に関する情報を交換する取り組みを始めた。東証と警察は、市場から暴力団を排除するため連携強化の必要があると判断、初めての全国的な動きになった。
 関係者によると、暴力団構成員が役員や株主に名を連ねることは少ないが、ファンドを利用して水面下で株主となり、株価を操るなどして不正に利益を得るケースが多いとされる。このため東証は、急騰や急落を繰り返すなど株価が不自然な動きをした場合は、暴力団の関与が明確でなくとも警察と情報交換する。
 東証は以前から警視庁との間で株主などが組員かどうかの情報交換は行っていた。しかし、新興企業向けに証券市場が広がる中、上場している企業の本社所在地を管轄する警察本部とも連携して実態を調査する必要があると判断した。上場を目指す会社も情報交換の対象とする。
 株主の背後にいる暴力団が不正を行うなどの関与が疑われた場合は、警察の情報を得ながら株価などを注視。暴力団との密接な関係が判明すれば上場廃止を検討する。警察当局も東証から伝えられる情報を蓄積して暴力団が絡む企業犯罪の捜査に役立てたい考えだ。
 東証と警察庁、警視庁が昨年12月、暴力団排除に向けた連絡協議会を設立。企業の役員や主要取引先、大株主が暴力団と関係していないか、幅広く情報を交換する仕組みを模索していた。
 上場企業を巡っては、2月に大阪証券取引所ヘラクレスに上場していた「アドテックス」(東京都港区)の民事再生法違反事件で逮捕された同社幹部が元暴力団組長だったことが判明するなど、暴力団との関係が指摘される例が増えている。【石丸整、鳴海崇】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070624-00000013-mai-soci