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2007年06月23日(土) 21時09分

<参院選>大仁田氏“失望引退” 政党の集票手法に一石毎日新聞

 参院選に比例代表で出馬予定だったプロレスラー出身の大仁田厚参院議員(自民)が23日、1期限りでの引退を表明した。個人名でも投票できる「非拘束名簿」方式が初めて導入された01年の参院選では各党が著名人擁立に躍起となり、大仁田氏のほかタレントの大橋巨泉氏(民主)、大学教授だった田嶋陽子氏(社民)も当選したが、いずれも政党への失望を口にして既に国会を去っている。自民党は大仁田氏に代わり「ヤンキー先生」で知られる義家弘介氏(36)を擁立する方針だが、著名人で集票を図る手法が改めて問われそうだ。
 同日記者会見した大仁田氏は「参議院は首相官邸の人気取りの道具ではない」と切り出した。
 引退の直接の理由は、安倍政権が主導した今国会の会期延長と、参院選の日程先送りに対する抗議だと説明。「国民が求めているのは付け焼刃で法案を通すことでなく、慎重審議だと思う。選挙目当てにウソをついてまで当選したくない」と強調した。
 また、参院の存在意義について「3年くらい前から悩んでいた」といい、「衆院から降りてきたことをそのままやっていく。今回もそうだが『ハイ、そうですか』で通してしまっていいのか」と疑問を投げかけた。
 01年選挙では個人名で46万票を獲得したが、「タレント議員」としての迷いもあったようだ。
 「何百という選挙区に応援に行った。それがタレント議員の仕事みたいなもの。(テレビに映る)僕の映像は(審議が荒れた時)いつも委員長を守る場面ばかり。レスラーという偏見を打ち破ろうとしたが、自分の勉強不足を痛感することもあった」と語った。
 一方、41万票を獲得した大橋氏は、民主党への不満が膨らみ、02年1月に議員辞職した。会見で「党が自民党と同じ体質と知り、力が抜けた。6カ月で辞め、無責任なタレント議員というバッシングも覚悟している。出馬は後悔していないが、民主党から出たことは後悔している」と党批判を展開した。
 田嶋氏は51万票を集めたが、北朝鮮問題での党の対応などに不満を募らせ、02年10月に社民党を離党。会見では党について、「外で抱いていたイメージと違う。透明性もなく、説明責任も果たしていない」と批判した。03年4月の神奈川県知事選に出馬(落選)。「知事は小さな大統領。党を離れた時からずっと首長になりたかった。国会はリズムが合わず、窒息しそうだった」と語った。【日下部聡、渡辺暖】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070623-00000077-mai-pol