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2007年06月23日(土) 17時30分

ミート社、鶏肉入り「牛肉」も DNA鑑定で判明朝日新聞

 北海道苫小牧市の食品加工卸会社ミートホープによる偽牛ミンチ問題で、豚肉だけでなく鶏肉の混入した「牛製品」が市場に流通して店頭に並んでいたことが23日、分かった。朝日新聞社が専門機関に依頼したDNA鑑定で判明した。流通業者による保管分調査などでも相次いで豚肉が検出される一方、「牛100%」は確認されていない。ミート社は、恒常的かつ広範囲に牛ミンチの偽装を続けてきた疑いが極めて強くなった。

 朝日新聞社はこれまで、北海道と東京の生協店頭で、日本生活協同組合連合会の「CO・OP 牛肉コロッケ」をサンプル的に購入して厚生労働省登録検査機関「食肉科学技術研究所」に鑑定を依頼。結果は「豚のみ」「豚と牛」だった。

 新たに鑑定したのは大阪、名古屋、福岡の3市内の生協店舗で購入した同コロッケ。同研究所の分析の結果、大阪分(4月13日製造)からは牛と豚のほか鶏が検出された。北海道や東京購入分を含めて、店頭商品で鶏混入が確認されたのは初めて。名古屋分(同26日製造)からは牛と豚、福岡分(同26日製造と5月12日製造)からは豚だけが確認された。

 食肉関係者によると、部位にもよるが、一般的には牛肉よりも豚肉、さらに鶏肉の方が安く手に入る。業界には「ブローカー」が多数おり、賞味期限ぎりぎり、あるいは期限切れの肉が扱われることがある。1キロ40〜50円という格安の値段の場合もあるという。

 ミート社の元幹部社員は、このような肉を大量に仕入れていたと証言。同社は、安ければ品質を問わず大量に引き取るとして、業界内では「なげば」と呼ばれていたという。混入形態は様々なことから、格安で仕入れた豚肉や鶏肉などを場当たり的に牛ミンチに混ぜていた疑いが強い。

 7、8年前からの豚肉などの混入を認めた田中稔社長も「毎日のようにやっていた時もある」「混ぜればわからないと思った」などと述べている。

 日本生協連が製造元の「北海道加ト吉」保管分を調べた中間結果でも判明分すべてに豚肉などが混入。「加ト吉」(香川県観音寺市)による同様の調査でも豚混入が相次いで確認されるとともに、逆に牛肉、豚肉ともに検出されず、鶏肉や羊肉などの使用を疑わせる例も見つかっている。

 日本生協連は「当方の調査からも、ミート社は継続的、意図的に偽装していたと判断している。販売者としての自らの責任を深く感じている。特に、生協の組合員の期待を裏切ったことを深くおわび申し上げます」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0623/TKY200706230235.html