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2007年06月22日(金) 08時08分

NOVA擁護 経産相にも 中山泰議員、検査直後に訪問朝日新聞

 経済産業省から業務停止命令を受けた英会話学校大手「NOVA」(統括本部・大阪市)が特定商取引法違反の疑いで同省の立ち入り検査を受けた直後の今年2月、自民党の中山泰秀衆院議員(大阪4区)が甘利経産相を訪ね、問題視されていたNOVA商法を肯定し、「特商法は経済活動の実態に合わない」などと法律の見直しを主張していたことがわかった。中山氏は立ち入り検査が訪問のきっかけだったことを認めたが、検査への働きかけは否定し、「法改正の必要性を訴えただけだ」と話している。

 甘利経産相は「中山氏の訪問を受けて職員に何か伝えたり、指示したりしたことはない」としている。

 NOVAが立ち入り検査を受けたのは今年2月14日。契約時に一括して買うポイントの量が多いほど単価が安くなるが、解約時には使用済みポイントをそれより高い単価で計算して差し引く精算規定などが問題視されていた。

 中山氏や関係者によると、中山氏が大臣室を訪れたのは立ち入り検査の8日後の22日午前。甘利経産相に対して「まとめ買いによる割引を認めないのは経済活動の実態に合わない」などと主張した。さらに、NOVAの精算規定が特商法に違反しているかどうか最高裁(今年4月、NOVAの敗訴が確定)で争われていることに言及。「司法判断が出ると経済活動への影響が大きい」と特商法の見直しを訴えたという。

 この際、甘利経産相は、NOVAへの苦情が1年間で千件前後にのぼるという趣旨の指摘をしたが、中山氏は「1軒の店に千件の苦情があれば問題だが、NOVAの規模が大きいから苦情が多くなる面もあるのではないか」と述べた。中山氏は甘利経産相に面会したことをNOVAの猿橋(さはし)望社長に報告し、礼を言われたという。

 朝日新聞の取材に対し、中山氏は「立ち入り検査の記事を読み、自分の判断で大臣を訪ねた」と話し、訪問と立ち入り検査との関係を認めた。訪問の動機については、「大量購入で割り引く商法が否定される風潮や役所がおかしいと思った」と説明したが、「(立ち入り検査後の処分を)制止する意図はなかった」と話した。

 甘利経産相は中山氏とのやりとりについて、「個別ケースの話ではなく、現行法について一般的な意見交換をした。議員から立法論について問題提起があり、議論をするのはごく自然なことだ」と文書で回答した。

 中山氏は昨春、大阪市消費者センターがNOVAのトラブル解決に乗り出した後、猿橋社長とともに市長を訪ね、NOVA側の主張の正当性を訴えたことがすでに判明している。

 猿橋社長は中山氏の後援会員で、社長が理事長を務める財団法人「異文化コミュニケーション財団」では中山氏が評議員を務めている。

 中山氏は父親の中山正暉・元建設相の秘書などを経て、03年11月の総選挙で初当選し、現在2期目。衆院経済産業委員会の理事を務めている。

http://www.asahi.com/national/update/0622/TKY200706210412.html