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2007年06月22日(金) 00時00分

食えない読売新聞

 人当たりが良く、誰とでも友達になる——なのに「食えないやつ。」そんな人は周囲にいませんか?

 「食えない」は、ずるがしこくて気が許せない、という意味ですね。英語で直訳はできません。 Shrewd、smart、sharp、cunning、sly、crafty などの訳語があります。 Shrewd、smart、sharp は「利口な」という意味が、 crafty には「器用な」の意味もあり、ほめ言葉にも使えますが、一方でいずれも狡猾(こうかつ)さも表します。

 「あいつは食えないやつだよ」は、 He is a shrewd guy.などと言います。 Guy の代わりに operator と言えば、より意味が強まるでしょう。Operatorは「操作する人」ですが、「敏腕な人、やり手」のことでもあります。 He is a tough guy to deal with.(彼は付き合うのが難しいやつだ)と説明してもいいでしょう。

 「煮ても焼いても食えない」という表現もあります。どうやっても思うようには扱えない、手に負えない、という意味です。こういう相手は、 He’s too much for me.(彼は私には手に負えない。) Tough customer、tough bird と言う表現もあります。

 この場合、customer(客)、bird(鳥)のそのままの意味ではなく、たとえば、 I’ve found my new colleague to be a tough customer.(新しい同僚は、手に負えません)などと人について言えます。

 「やり手」は、「食えないやつ」のような悪いニュアンスはありませんが、同じく shrewd と訳せます。 He is a very shrewd businessman.(彼はかなりのやり手ビジネスマンだ。) Capable(有能な)としてもいいでしょう。

 ところで、「食えない」は「生活できない」ことを言うこともあります。この場合は、たとえば、I quit the company recently because I wanted to become a writer, but I can’t support myself.(私は物書きになりたくて、最近会社を辞め、食っていけなくなった)

 しかし、次のような状況に好転するといいですね。 But finally I was able to live off my writing.(しかし、ようやく筆一本で食えるようになった。) Live offは、「〜で生計を立てる」です。

(早乙女泰子記者)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/learning/english/20070622us01.htm