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2007年06月21日(木) 07時49分

ミート社と6社が取引停止 事前に悪いうわさも朝日新聞

 食品加工卸会社ミートホープ(北海道苫小牧市)の牛ミンチ偽装問題で、食品関連業界に波紋が広がっている。コンビニエンスストアや食品会社など、ミート社の肉を扱っていた各地の企業は20日、事実確認や商品回収など対応に追われた。少なくとも6社が取引を停止した。

 ●コンビニも

 コンビニ大手のローソン(東京都品川区)は20日、全国の店頭で販売していた「ビーフコロッケ」の販売を中止した。レジわきのケースで保温したものを持ち帰り販売していた若者に人気の商品だが、ミート社のひき肉などで北海道加ト吉が製造していた。

 商品に具体的な問題を確認したわけではないが、社会問題化しているため、販売を見合わせたという。商品に含まれる「牛ミンチ」について社内の品質管理部門で鑑定する方針だ。

 練り製品で知られる紀文食品(中央区)は、ミート社から豚肉と鶏肉を仕入れ、ギョーザの材料にしていた。今回の問題で「即刻取引を中止した」。北海道の工場には、東京工場の材料を空輸するほか、道内の別会社からの入荷を始めた。

 明治乳業(江東区)は、業務用冷凍食品「パーティーラザニア」の出荷停止を決めた。ミート社の牛ひき肉と豚ひき肉を使用していた。卸問屋にも同商品の使用停止を伝えた。在庫は廃棄処分にする。

 味の素(中央区)は、子会社が製造する業務用「ニュー牛肉コロッケ」でミート社の「牛ミンチ」を使っていた。「万全を期すため出荷を停止した」という。

 ●怒り

 ピラフなどの材料として鶏肉と豚肉を仕入れていたアスカフーズ(秋田県横手市)は同日午前に対策会議を開いて取引停止を決めた。営業部長は「どの社も品質保持をぎりぎりのコストでやっている。肉をごまかすという安易な手段に強い怒りを感じる」。

 ケイエス冷凍食品(大阪府泉佐野市)も取引停止。幹部は「一業者の不祥事により業界全体の信用を失いかねない」と危機感を募らせた。

 やはり関西の食品加工会社の社長は、ミート社に電話し、応対した専務に「おたくの肉は、シロなんですか、クロなんですか」と迫った。専務は何を尋ねても「調査中。コメントできない」と繰り返すばかりだった。社長は「ひどい対応で、強い不信感を持った」と取引停止を決断した。

 ●うわさ

 日本水産(東京都千代田区)は、グループ会社がミート社と取引していた。「業界内でよくないうわさがあったので昨年末に取引をやめていた」(広報課長)という。

 ミート社から牛ミンチを仕入れていた北海道の食品メーカーのある社員も「昨年、まがい物のミンチを作っているといううわさを聞いた」と打ち明ける。以前にも、異物が混入していたため一時的に取引停止だったこともあったという。

http://www.asahi.com/national/update/0620/TKY200706200404.html