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2007年06月21日(木) 21時55分

昨年、農水省出先機関に偽ミンチ情報…道と連携不足で放置読売新聞

 食肉製造加工会社「ミートホープ」(北海道苫小牧市)が牛肉ミンチに豚肉などを混ぜて出荷していた問題で、北海道にある農林水産省の出先機関に昨年2月、「(ミート社が)ミンチに豚の内臓を混ぜている」などの情報が寄せられていたことがわかった。

 同省は、食品の表示について定めた日本農林規格(JAS)法に違反する可能性もあるとみて「北海道に対応を要請した」としているが、道は「聞いていない」と反論。双方の連携不足が偽ミンチ問題の放置につながった形だ。

 同省表示・規格課によると、情報提供は苫小牧市にある農政事務所の出先機関に寄せられた。上部機関である北海道農政事務所(札幌市)と相談し、「ミート社は道内の事業者のため、JAS法上の権限は北海道知事にある」として、道庁に内容を伝えたという。

 これに対し、北海道くらし安全課は「協力要請の文書は受けていない」と主張する。JAS法では、対象業者の「主たる事務所」や工場が複数の都道府県にまたがる場合は農相に立ち入り検査などの権限があると定めているが、ミート社は東京都内にも事務所を持っているため、北海道の担当者は「道が所管であるとの認識を持ったことはない」とも話した。

 同省は昨年4月、ホルスタインなどの肉に和牛の個体識別番号を表示して販売していたとして、ミート社と関連のある苫小牧市の会社を、牛肉トレーサビリティー法に基づき文書で指導した。ミート社に対し、JAS法上の対応が1年余りにわたり行われなかったことについて、同省は「どのような措置を講じたか、道に確認すべきだった」と対応の甘さを認めている。

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 農林水産省は22日、JAS法に基づき、ミート社など関係先を立ち入り検査する。「違反が確認されれば、厳正な措置を講じる」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070621i214.htm