記事登録
2007年06月21日(木) 06時19分

ミート社長が関与認める 日報に意図的な混入示す記載朝日新聞

 食品加工卸会社ミートホープ(北海道苫小牧市)による牛ミンチ偽装問題で、同社の田中稔社長(68)は20日夜、同社で記者会見し、豚肉などの混入について、自らの関与を認めた。「工場長から豚肉を入れていいかと言われ、容認した。牛肉がなかったから他の肉を足した。指示はしていないが容認してしまった」などと語り、謝罪した。偽装を裏付ける工場記録も残っており、ミート社によるミンチ偽装は、会社トップのもとで続けられていた公算が大きくなった。

 会見で田中社長は「混ぜれば、わからないと思った」「忙しい時に機械を洗浄しなかった。ずさんな管理だった。認識が甘かった」とも語った。

 混入を裏付ける記録は、朝日新聞社が入手した「投入原料日報」(06年7月5〜14日)。その日に工場で作ったミンチについて、商品名と原料名、投入量の内訳を責任者が記録している。工場長も、自ら書いた日報で、記載通りにミンチを製造していたことを認めていた。

 それによると、この間に少なくとも94製品のミンチを製造。うち「牛」は41製品で、その約4分の3に当たる28製品に豚の心臓などを混入した記録がある。混ぜものは多岐にわたり、「チャーシュークズ」「ラムクズ」「カモ」との記載もある。

 さらに「牛(2)」「豚(2)」の表記もある。(2)は「2度びき」を意味しており、くず肉など様々な素材を2回重ねてミンチすることで、元の素材がわかりにくくなる効果がある、と元幹部らは解説している。

 例えば、北海道加ト吉向けとみられる「十勝産牛バラ」は「豚心(豚の心臓)」200キロと「牛(2)」286キロ。ほかに、「豚心」80キロ、「豚バラ脂」10キロ、「豚(2)用」90キロ、のミンチもある。別の会社向けとみられる「ビーフパウダー」は「豚心」180キロと「牛(2)」280キロだった。

 一方、単価の安い豚や鶏のミンチには混入はほとんどみられない。

 退職した元幹部らは「取引先からまれに苦情があったが、すぐに謝罪して製品を引き取ったので、混入は発覚しなかった」という。

http://www.asahi.com/national/update/0620/TKY200706200402.html