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2007年06月21日(木) 15時55分

選挙費用ずさん処理、与野党5幹部が収支訂正…読売調査読売新聞

 与野党幹部の衆参両院議員17人の選挙運動費用収支報告書の記載について読売新聞が調べたところ、うち5人の収支報告書の記載に誤りがあることが分かった。

 5人は指摘を受けて、同報告書や関連政治団体の政治資金収支報告書を訂正した。自民党の幹部3人は取材に対し、選挙で余った金をどう処理したか具体的に説明しなかった。安倍内閣の閣僚に対する同様の調査でも、4閣僚の記載ミスが明らかになっており、実態を無視して収支の数字を合わせようとするなど、選挙運動費用のずさんな処理が与野党を問わず広がっている実態が浮かんだ。

 調査の対象は、2003年11月と05年9月の衆院選、01年7月と04年7月の参院選での選挙運動費用収支報告書。自民、民主、公明、共産、社民、国民新党の党首、幹事長クラスについて調べたところ、5人の報告書に誤りが見つかった。

 収支報告書では、公費で負担されるポスターやビラの印刷代なども、支出に計上することになっている。このため、集めた選挙資金を全額使い切った場合、収入額より支出額が公費負担分だけ多くなる。ところが、5人のうち4人の報告書は、収入と支出が同額かそれに近い状態になっているため、公費負担分程度の資金が余剰金として議員本人の手元に残ったような記載になっていた。

 典型的なのは照屋寛徳・社民党副党首のケース。収支がぴったり同額で、これに伴い、03年の衆院選では公費負担分と同じ額の211万円、05年の衆院選ではやはり同じ額の194万円の選挙費用が余った形になっていた。照屋氏は資金管理団体からの寄付で選挙費用を賄っていたが、今年5月、これを公費負担分だけ減額する訂正をした。

 緒方靖夫・共産党副委員長も01年の参院選でほぼ同様のミスがあり、共産党都委員会からの寄付を公費負担分の462万円だけ減額する訂正をした。両氏の事務所とも、「収入と支出の数字を均衡させなければならないと思い込んでいた」と説明する。

 民主党の鳩山由紀夫・同党幹事長は05年に264万円、菅直人代表代行は285万円の選挙費用が余ったかのような記載になっており、鳩山氏は関連政治団体からの寄付を公費負担分と同額だけ減額、菅氏は余剰金を資金管理団体に寄付したと訂正した。菅氏は「余剰金をゼロにするつもりだったが、処理が遅れてしまった」と釈明している。

 一方、丹羽雄哉・自民党総務会長の報告書は、05年の選挙で1259万円の余剰金があったことになっていたが、その行方について、自分が代表を務める自民党茨城県第6選挙区支部に返金したなどとする記載は見当たらなかった。読売新聞の指摘を受け、選挙後に同支部に1014万円を返金したと、同支部の収支報告書を訂正したが、訂正後も公費負担分と同じ245万円が残った状態だ。

 一方、自民党の中川秀直幹事長は05年に265万円、中川昭一政調会長は同年に307万円の余剰金が出ていたが、両氏の事務所とも「記載以上の詳細は回答していない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin2007/news/20070621it07.htm?from=top