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2007年06月19日(火) 03時00分

訪問販売すべてクーリングオフ対象に、特定商取引法改正へ読売新聞

 経済産業省は18日、訪問販売や外国語教室などの業務を規制している「特定商取引法」を抜本改正する方針を固めた。

 「訪問販売」、「通信販売」、「電話勧誘販売」の三つの販売方法について、商品やサービスごとに指定して規制していた方針を改め、原則すべての商品・サービスを規制の対象にするのが柱だ。英会話学校最大手のNOVAが同法違反で行政処分を受けたことなどを踏まえ、消費者トラブルの多い行為の差し止め請求を消費者団体に認める「消費者団体訴訟制度」も導入する。来年の通常国会に改正案を提出する方針だ。

 特定商取引法は訪問販売など三つの販売方法について、新たな被害が出るたびに、規制対象を追加指定し、現在約80種類の商品・サービスに網をかけている。今月15日には、みそ、しょうゆなどの調味料のほか、商品取引市場で運用するとして客から証拠金を集める「証拠金(保証金)取引」なども指定商品に加えた。ただ、悪質業者は指定商品のリストにない商品を選んで訪問販売するなど、いたちごっこが続いていた。

 このため、改正法では、保険業法や薬事法など他の法律が規制対象としている物品・サービス以外はすべて対象にするよう法改正する方針だ。これにより、ほぼすべての物品やサービスが、一定期間内ならば契約を解除できる「クーリングオフ」などの対象になる。

 一方、新たに導入される「消費者団体訴訟制度」では、NOVAが行っていた虚偽の説明をする「不実の告知」などについて、消費者団体が差し止めの訴訟を起こすことが可能になる。

 今月7日に施行された改正消費者契約法にも団体訴訟制度が盛り込まれているが、経産省では、語学教室や訪問販売などのサービスを対象とした特定商取引法に導入することで、より制度の利用が進むと見ている。

 経済産業省によると、同法に基づく行政処分は、証拠固めなどの事務が膨大なため昨年度でわずか84件しかない。一方、国民生活センターに寄せられた昨年度の同法関連のトラブルは60万件で、行政処分だけで悪質行為をやめさせるには限界があると判断した。

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