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2007年06月18日(月) 18時51分

パチンコ「攻略法詐欺」「打ち子詐欺」に注意読売新聞


イラスト=成田明也

 筆者のケータイに怪しい電話がかかってきた。「パチスロのお得な情報があるんですが…」。こんな勧誘の言葉で詐欺をしかける「攻略法詐欺」の電話だ。パチンコ・パチスロの世界では、この手のケータイ詐欺が増えている(テクニカルライター・三上洋)

「大当たり強制打法」は完全な詐欺

 パチンコ・パチスロの攻略法詐欺は、20年以上前からある古い詐欺の手口だ。「攻略法を教えます」と称して広告を出し、問い合わせてきた客に金を振り込ませ、怪しげな攻略情報を教える。

 例えば「○○という機種では、まず××が出るまで打ち、そのあとボタンを押す順番を変えると、大当たりが強制的に発生します」などという嘘の大当たり強制打法を教えている。一部のパチンコ・パチスロ雑誌には、今でもこの種類の広告が掲載されている。

 もちろんのことであるが、こんな攻略法は存在しない。まったくのガセである。そんな攻略法があれば、店もメーカーも倒産してしまうだろう。ケータイで「あなただけに攻略法を売ります」などと言ってくる勧誘は、100%詐欺だと断言できる。

 筆者のケータイに、詐欺電話がかかってくる理由もわかっている。それは某パチンコチェーン店の会員サービスに申し込んでしまったから。最近のパチンコ・パチスロ店の多くは、出玉・メダルを貯めたりメールで最新情報を送る会員サービスを提供している。この名簿が流出してしまっているのだ。

 もしあなたのケータイに、パチンコ詐欺の勧誘電話やメールが来たことがあるなら、きっと一度はどこかの店の会員になっているはずだ。個人情報保護法の時代に頭に来る話だが、抗議しても今更どうしようもないので、筆者は単純に電話を無視するだけに留めている。

「最初は無料」の打ち子詐欺も増加中

イラスト=成田明也

 もう1つ「打ち子」詐欺なるものもケータイで増えている。打ち子とは、パチンコ店で出ているように見せかける「サクラ」の派遣組織や、ある方法でメダルや玉を盗む組織に依頼されて打つ人間のこと。一部の悪質なパチンコ店では、サクラ役の人間がよく出る台に座って、いかにも出る店のように演出していることがある。このサクラになれますよ、という詐欺なのである。

 巧妙なのは、最初は無料だと勧誘してくること。被害者の居住エリアを聞いた上で「その辺でしたら、○○駅の△△ホールがあります。その店の××番台に、○月○日に座ってください。それだけでOKですよ」とのたまう。指定された台に座り、もし出たら「もうかった分の50%を後で振り込んでください」と約束するわけである。

 もちろんそんなのは全くの嘘であり、適当に店の名前と機種名を言っているだけ。偶然にも出てしまえば、儲かるだろうという数打ちゃ当たる作戦だ。

 こんな手口でも無料だと聞くと「ダマされたと思って…」と、やってしまう人が出る。実際にメダルや玉が出なければ、お金もかからないのだからイイヤと思ってしまうのである。しかし詐欺業者はそう甘くはない。1回目がダメなら2回目、3回目と続き、そのうち本当の攻略法を教えるから、と言ってお金をダマし取る。

 また詐欺にひっかかりやすいターゲットだとして、ほかの詐欺のターゲット名簿に載ってしまう場合もある。つまり最初が無料なのはエサであって、その後に本当の詐欺が待ち受けているわけだ。

ダマされる理由は「過去の攻略法」

 パチンコ・パチスロを一切しない人にとっては、なぜこんな詐欺にひっかかるのか不思議に思うかもしれない。しかし詐欺にダマされる人が続出するのには理由がある。本当の攻略法が過去に存在していたからだ。

 それは「キズ」と呼ばれる設計ミスによるもので、ある押し方をするとメダルが増えたり、レバーの押し方でメダルが増えてしまう機種があった。パチスロ機の欠陥が、攻略法につながってしまったパターンである。

 しかしこの手の「キズ」は、ほぼ数日で対策される。本当に効果のある攻略法が発覚すると、情報がたちまち広まり日本中のパチンコ店で試される。メーカーもパチンコ店も必死になって対策を取るので、遅くても数日、早い場合には2日後には、攻略法が一切使えなくなるのだ。つまり本当の攻略法は存在したことがあるが、今使えるものは皆無なのである。

 しかし詐欺業者は、この「実際に攻略法があった」という話をうまく利用する。まるでその会社が過去の攻略法を開発したかのごとく宣伝し、今も発覚していない攻略法があると勧誘してくる。これにダマされてしまうのだ。

 繰り返しになるが「攻略法教えます」「出る台を教えます」の電話・メールは、すべて詐欺だ。実際に存在した攻略法は、とっくの昔に無効になっている。だからパチンコ・パチスロ関連の勧誘電話とメールはすべて無視することが大切だ。

 加えてパチンコ・パチスロ店の会員サービスにも要注意。安易に登録すると、情報流出により詐欺電話とメールが増える可能性があるからだ。パチンコ店が「個人情報保護法を遵守しています」と宣言していても、アルバイトの店員が流してしまったらどうしようもない。会員サービスに安易に登録することは避けたほうが無難だろう。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20070618nt0d.htm