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2007年06月18日(月) 14時56分

6月18日付 よみうり寸評読売新聞

 〈三尺下がって師の影踏まず〉——弟子は師を敬い、いかなる時も礼を失してはならない。この〈三尺〉を三歩あるいは七尺とする同じ意味の表現もある◆影さえ踏むなという教えだが、当世はそんな教えなどまるで知らぬ親、敬うはおろか先生に理不尽な要求やら抗議やらを突きつけるような親が多く、学校が苦慮している◆きょうの本紙朝刊によると「うちの子には自宅で掃除をさせていないので、学校でもさせないでほしい」「ピアノはうちの子が一番なのに、合唱の伴奏が別の子なのはおかしい」……信じられない話だ◆子供同士のささいなトラブルなのに「相手の子を転校させて」というのもある。〈子供のけんか〉は〈親かまわず〉が鉄則で〈親が出る〉は大人げない振る舞いだ◆担任や校長の自宅に深夜の長電話をしたり、教師を中傷するメールを関係者に送るなどは始末が悪い。暴力団をちらつかせ要求を通そうとする悪質なものもあり教師の対応も限界を超える◆理不尽な親に手を焼く教師と教室を守るために、学校や教育委員会の体制づくりが肝要だ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070618ig05.htm