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2007年06月16日(土) 03時03分

NOVAに数社が提携打診、猿橋社長「資産売却を検討」読売新聞

 英会話学校最大手、NOVAの猿橋(さはし)望社長は15日、読売新聞の単独インタビューに応じ、流通業など同業以外の複数企業から資本・業務提携の打診を受けていることを明らかにし、「信用補完は必要で、検討している」と提携に前向きな姿勢を示した。

 同社は契約時に虚偽説明があったなどとして、経済産業省から特定商取引法に基づく一部業務停止命令を受けている。猿橋社長は2007年3月期連結決算で2期連続の税引き後赤字に陥った財務を立て直すため、大阪市内にある自社所有の土地、建物(時価数十億円相当)の売却を検討していることも明らかにした。

 NOVAは13日の一部業務停止命令で長期の新規契約を禁じられたうえ、15日には厚生労働省から、働く人に受講料を補助する「教育訓練給付金制度」の指定を20日付で取り消すと通知された。5年間、新たな指定を受けられない。

 現在は受講料の4割(上限20万円)が受講者に支給されている。対象は指定を受けている32講座で、20日以降に受講し始めると給付金を受け取れなくなる。同社ではこれまで約7万1000人の受講生が約160億9000万円を受給した。同制度は受講生勧誘の際の大きな武器となっていただけに、今後の事業運営に影響しそうだ。財務の立て直しに向けた提携について、猿橋社長は「自分たちだけで一生懸命やって(信用回復が)できるのか。提携先があれば早く(信用補完が)できるかもしれない。流通業界などから話をいただいている」と複数の企業から打診を受けていることを明らかにした。

 一方、新規契約の減少や解約の増加に伴い懸念される当面の資金繰りについては、「問題はなく、金融機関の支援も必要ない」と述べた。しかし、「これから(新規契約の)夏枯れに入るので、資金の余力を考えて不動産を売却することも検討している」と、大阪市中心部に保有する不動産の売却を検討していることを明らかにした。

 NOVAを巡っては、今年2月に経産省と東京都が特定商取引法に基づく立ち入り検査を実施した前後から、流通業界などから提携の打診が相次いでいた。

 関係者によると、ファンドを通じて交渉したものの、条件面で折り合わず断念した流通大手がある一方、依然として意欲的な別の流通大手もあるという。900か所以上の教室網や40万人を超える受講生に着目し、大型商業施設への集客効果を期待しているとみられる。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070616it01.htm