記事登録
2007年06月14日(木) 00時16分

時効で年金「もらい損ね」 9万人、1155億円朝日新聞

 年金を受給できる年齢に達していたのに申請せずに5年以上が経過したため、時効で年金を受け取れなかった人が99年度から03年度までに計9万人おり、受給漏れの総額が1155億円に達していたことが13日、社会保険庁の推計で明らかになった。5000万件の「宙に浮いた年金記録」とは別問題だが、「本人が申し立てない限り、年金を支払わない」という社保庁の姿勢が改めて浮き彫りになった。

 13日の厚生労働委員会で、柳沢厚労相が明らかにした。05年10月からは受給開始年齢の誕生日の3カ月前に社保庁が申請用紙を郵送。本人が送り返せばいいが、当時は本人からの申請を待っているだけだった。

 現在審議中の年金時効特例法案では、基礎年金番号に統合されずに受給漏れを引き起こした年金記録が新たに発見された場合、5年の時効を適用せず、全期間分の年金を本人に支払うが、申請遅れのケースは、時効撤廃は適用されない。

 また柳沢氏は、国民年金台帳から3090件を抽出したサンプル調査で、新たに明らかになった約20件のミスのうち5件が氏名と生年月日の間違いだったことを認めたが、「受給額に影響はない」との理由から公表しなかったという。

 一方、1人1番号のはずの基礎年金番号を複数持っている人が06年10月時点で約2万人いることも判明。今後、年金記録の統合作業が混乱する恐れもある。

http://www.asahi.com/life/update/0614/TKY200706130419.html