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2007年06月14日(木) 03時40分

「ネット中傷も」神奈川県警、振り込め被害の個別発表中止読売新聞

 神奈川県警が振り込め詐欺事件の被害発生を個別に発表することをやめていたことが13日、わかった。

 県警は被害が減らないうえ、被害に遭った人が中傷される例も起きていると説明。「特異な手口や発生状況は定期的にまとめて発表したい」(捜査2課)としているが、識者からは「防犯のためには発生直後の公表が必要」と批判の声も上がっている。

 県警は5月に県内54署の刑事課長を集めた会議で、被害をそのつど発表しても防犯効果が上がっておらず、被害者保護を優先すべきだとして、被害の判明後すぐに報道機関に発表することは控えるよう見直した。被害額が数千万円と多額だったり、手口が新しかったりする特異な例も被害者の了解が得られ、県警で検討したうえでなければ発表しないことにした。

 被害者中傷について、県警は横浜市の主婦の例を説明。この主婦は4月に情報サイトの登録料などの名目で計約4700万円をだまし取られた。県警は直後に広報したが、新聞などで報道された後、インターネットの掲示板に「なぜ大金があるのか」といった書き込みが行われたという。

 元日本新聞協会研究所長の桂敬一・立正大講師(マスメディア論)は「発生直後に被害状況を詳しく知らせることが将来の防犯につながるはずだ。(中傷など)被害者の保護はメディアが考えるべき問題」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070614i501.htm