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2007年06月13日(水) 08時01分

朝鮮総連本部を売却 公安庁元長官の会社に産経新聞

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が5月末、東京都千代田区富士見にある中央本部の土地と建物を、都内の投資顧問会社に売却していたことが12日、分かった。投資顧問会社は、朝鮮総連などの動向を調査対象とする公安調査庁の元長官が代表取締役を務めており、取引の背景が注目される。

 登記簿によると、取引された中央本部の土地は約2390平方メートルで、建物は地上10階、地下2階の鉄骨鉄筋コンクリート造り延べ約1万1700平方メートル。

 取引価格は不明だが、固定資産税などから評価額は約30億円とみられ、5月31日に取引されていた。

 新たに所有したのは、「ハーベスト投資顧問会社」で、投資顧問業や貸金業などを目的に平成18年9月に東京都中央区に設立された。当初の代表取締役は文京区に住む男性だったが、今年4月に元公安調査庁長官の緒方重威(しげたけ)氏に代わり、所在地も目黒区内の緒方氏の自宅に移された。

 緒方氏は、最高検検事、最高検公安部長などを経て、平成5年7月、公安調査庁長官に就任。その後、仙台高検検事長、広島高検検事長を歴任し9年6月に退官。現在は弁護士。

 朝鮮総連は売却後も同じ場所で活動を続けており、取引に当たっては北朝鮮本国の了承を得たとみられる。

 朝鮮総連をめぐっては、整理回収機構(RCC)が17年11月、経営破綻(はたん)した朝鮮東京信用組合など在日朝鮮人系の16信用組合から引き継いだ不良債権のうち、実質的に朝鮮総連向け融資だったと認定した628億円の返還を求め提訴している。

 また、東京都は15年7月、それまで免除していた朝鮮総連中央本部の土地と建物に対する固定資産税を課税。期限までに納税していなかったとして、都は土地と建物を差し押さえたが、滞納分を納付したことで、今年4月に解除した。

 完納した時期には、今回の売却話が水面下で進んでいたとみられ、都が土地と建物を差し押さえた状態だと、売却できないため、未納分を納付したとの見方も出ている。

 売買取引について、朝鮮総連は「ノーコメント」、公安調査庁は「今回の件に一切関与していない。OBであっても、私人の行為であり、コメントする立場にない」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070613-00000004-san-soci