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2007年06月13日(水) 15時03分

<警視庁資料>1万件がウィニーネットに流出 少年実名も 毎日新聞

 個人情報が記載された強制わいせつ事件の被害者の供述調書など、警視庁の捜査資料とみられる膨大なデータが、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」のネットワークに大量流出していることが13日分かった。毎日新聞が入手した。流出データは全体で1ギガ以上、ファイル数としては1万件超。警察からの流出では過去最大となる。警視庁は12日夜に流出事実を確認。北沢署地域課の巡査長(26)の個人用パソコンに保管されていたファイル約1万件が流出し、中に捜査情報が含まれていたとみて調べている。
 関係者らによると、流出データはフロッピーディスク約800枚分に相当し、流出時期は今春とみられる。
 データは、監視中の被疑者を撮影したとみられる写真や、被疑者の通話記録、取り調べ状況報告書、犯罪歴照会結果報告書などと記載された捜査関連資料が多数含まれている。このほか「強姦(ごうかん)関係」「殺人未遂」「変死」など事件ごとに分けたフォルダーもあり、中には、住所、氏名などの個人情報が記された少年事件の書類もある。
 ほとんどが04年から05年に作成されたもので、警視庁の複数の署名や組織犯罪対策部の部署名が記載された公文書とみられる書類が多い。
 ウィニーを巡っては、昨春、岡山や愛媛県警など全国の警察で同様の流出が相次ぎ、警察庁が全国の警察本部に対し、公務だけでなく私物パソコンについてもウィニー使用を禁止する緊急対策を通達している。この時期に警視庁の大量流出が明らかになったことで、ウィニーによる被害が国内でさらに深刻化していることを示している。
 警視庁は13日午前11時すぎから、北村博文警務部参事官が緊急に記者会見し、情報流出したみられるデータが少なくとも文書が9000件、写真が1000件に上ることを明らかにした。
 流出元は北沢署地域課勤務の巡査長(26)が所有する自宅のパソコン2台のうちの1台とみられるという。このパソコンには、同僚の巡査部長のパソコンから捜査資料などのデータを取り込んでいた。流出した捜査資料の大半はこの巡査部長が組織犯罪対策1課時代に作成されたものとみられ、巡査部長からも事情を聴き、データの確認を急いでいる。
 北村参事官は「情報セキュリティー対策を徹底している最中、このような事案が発生したことは誠に遺憾。今後、調査を尽くして厳正に対処する」と話している。
 ◇Winny(ウィニー) インターネットを通じて、ユーザー同士がそれぞれのパソコンに所有している音楽、写真、映像などの情報を共有し、交換し合う「ファイル交換ソフト」の一種。02年5月に公開された。複数のサイトから無料でダウンロードできる。各自が欲しいデータを提示し、データを所有しているユーザーが提供。匿名性が高く、誰がどんなファイルを持っていて何をダウンロードしているのか、分からない仕組み。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070613-00000060-mai-soci