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2007年06月12日(火) 06時13分

分配金支払い止まる 海外エビ養殖の出資話 東北河北新報

 「フィリピンでのエビ養殖事業に投資すれば1年で2倍になる」との触れ込みで出資金を集めている投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京)が、10日ごとに払い込むとしていた分配金の支払いを1月から中止し、東北でもトラブルが表面化している。同社に対しては関東地方の出資者ら約10人が近く、警視庁に詐欺容疑で告訴する方針。東北の一部出資者も同社の商法に疑念を深め、出資金の引き揚げなどを検討している。

 宮城県の70代女性は、出資した女性から「絶対に得する」と誘われ、昨年12月—今年1月、計約300万円を投資した。計約17万円の分配金を受け取ったが、最後の出資から間もなく支払いがストップした。

 女性は「出資者紹介の実績などに応じて、情報料や報奨金なども支払われていたようで、勧誘はしつこかった。分配金が出なくなっても『大丈夫』と説得されたが、だまされたとしか思えない。出資金を返してほしい」と訴えている。

 東北各県の消費生活相談窓口には、これまで岩手、秋田両県で5件前後、青森4件、宮城2件の相談があった。山形県消費生活センターは「特定の企業に関する相談件数は明らかにできない」としているが、同社を含むエビ養殖投資関連の相談は2006年度から14件あったという。

 青森県の50代の女性も相談を寄せた1人。昨年12月に40万円を投資し、計3万円の分配金を得たが、一方的に分配金の支払いがストップ。「解約して出資金を取り戻したい」と助言を求めた。

 同社は全国各地で説明会を開催し、特定の組合組織を通じて出資を募った。昨年10月、仙台市青葉区のホテルでは「養殖場でエビを育て、市場で売った利益を分配する」と説明。「5億円の出資で10億円になった人もいる」と勧誘したという。

 2月には別会社「ワールドオーシャン基金」を設立し、同様に出資者を募集。両社で計1万人以上から数百億円を集めたとみられている。

 ところが、5月末に両社名で「台風が養殖場を直撃し、米国に全資金を投じたが、運用先の不備で米当局に凍結された」として、分配金の支払い延期を通知した。同社の代理人の弁護士も民事再生手続きを検討する内容の文書を出資者に出した。

 同社側は「マスコミの取材に一切応じない」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070612-00000002-khk-soci