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2007年06月12日(火) 06時00分

NOVA社長、国会議員連れ市長面会 解約トラブル巡り朝日新聞

 英会話学校最大手「NOVA」(統括本部・大阪市)の解約を巡ってトラブルが相次いでいる問題で、NOVAの猿橋(さはし)望社長と自民党の中山泰秀衆院議員(大阪4区)が関淳一・大阪市長を訪ね、解約時の精算方法の正当性を訴えていたことがわかった。訪問は、大阪市消費者センターが市民とのトラブルをあっせんで解決するため、NOVAに対し、市条例にもとづく「出頭通知」を出した後だった。結局、センターはあっせんを打ち切ったが、関市長は中山議員の面会との因果関係を否定している。

 大阪市などによると、出頭通知は昨年4月18日付で、市消費者センターから猿橋社長あてに送付された。解約時の精算金が少ないという消費者の苦情を受け、センターのあっせんで解決を図るため、NOVA側から見解を直接聴くのが目的だった。市消費者保護条例では、市はあっせんのほか、悪質な業者に指導、勧告でき、勧告にも従わない場合は業者名を公表することができる。

 中山氏と猿橋社長が関市長を訪ねたのは昨年5月22日午前。市によると猿橋社長は、解約精算金規定が特定商取引法に違反しているかどうか最高裁(今年4月、NOVAの敗訴が確定)で争われていることや、経済産業省とも十分に協議していることなどを訴えたという。

 また、中山氏も「最高裁で係争中だが、NOVAの精算規定が認められないのは社会通念上おかしい」などと主張したことを認めている。

 これを受け、関市長は消費者センターに事実関係を確認しておくよう秘書担当課長に指示。担当課長は、センター所長から出頭通知を出した経緯などを聞き出し、中山氏の秘書に内容を伝えた。また、中山氏と猿橋社長の訪問については、センターの現場担当者にも知らされた。

 センターの池見寛勝所長によると、社長らが市長を訪問する前の昨年4月26日、NOVAの担当者が出頭通知を受けて出頭し、「最高裁の判断が出るまで応じない」と宣言したという。池見所長は「その時点で判決を待つしかないと判断し、あっせんを不調として打ち切った」と説明。関市長は「国会議員が来たことで現場が判断をゆがめることはあり得ない」と話している。

 中山氏によると、猿橋社長は後援会の一員で、パーティー券購入などの支援を受けているという。また、猿橋社長が理事長を務める財団法人「異文化コミュニケーション財団」では中山氏が評議員を務め、父親の中山正暉・元衆院議員が理事に就いている。

 中山氏は市長訪問について、猿橋社長の依頼だったことを認め、「支援者が困っているときに助けてあげるのが政治家の仕事」と説明。「出頭通知は市長名で来ていたが、猿橋社長だけでは関市長に会えないので、面会できるよう設定した。あっせんをやめるよう口利きはしていないし、圧力をかけるつもりもなかった」と話している。

 NOVAの広報担当者は朝日新聞の取材依頼に対し、「面会して答えたいが、社長の日程調整を続けている状態だ」とし、11日までに具体的な回答は得られなかった。

http://www.asahi.com/national/update/0611/TKY200706110268.html