記事登録
2007年06月12日(火) 21時21分

国政選挙に電子投票、与党了承 残るシステム不安朝日新聞

 自民、公明両党は12日の与党政策責任者会議で、国政選挙に電子投票を導入する公職選挙法特例法改正案を了承した。来年1月施行で、その後の国政選挙から、希望する都道府県や市町村が電子投票を行えるようになる。今国会に議員立法で提出し、秋の臨時国会での成立をめざす。ただ、民主党はトラブル対策などを見極めたうえで賛否を判断する構えであり、年内の成立は微妙だ。

 地方選では02年に導入されているが、利用しているのは現在8市町村。システムトラブルの懸念やコスト増などの課題があり、普及促進のための新たな交付金制度も法案に盛り込んだ。

 地方選の電子投票は、銀行の現金自動出入機(ATM)に似た形式で、画面に並んだ候補者名を指で触れることで投票を完了する。利点は開票時間の短縮だ。総務省によると、宮城県白石市では、導入前4時間かかった開票作業が、3回目の電子投票となった今春の市議選では49分で完了した。職員の超過勤務手当が減り、無効票もなくなる利点もある。

 ただ一方で、トラブルの懸念がつきまとう。岐阜県可児市では03年7月の市議選で投票機が故障して、最高裁で選挙無効が確定。投票用紙に候補者名を書く従来の自書式で、約2年後にやり直し選挙を行った。

 「時代の流れ」(中川秀直幹事長)と旗をふる自民党に対し、公明党は「国政選挙はトラブルが起きたときの影響が大きい」と消極的だった。とりわけ参院選の比例区では、一市町村でトラブルが起きただけで全国の議席が確定しない。

 そのため、自民党は(1)運用マニュアルが市町村に整備されているか総務省がチェックする(2)総務相が定める投票機の技術基準を厳格化する——などのルールを設けることを約束し、公明党も賛成に転じた。さらに導入に多額の費用がかかることから、国が投票機確保の費用にあてる交付金を出すことも盛り込んだ。

http://www.asahi.com/politics/update/0612/TKY200706120364.html