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2007年06月09日(土) 17時46分

悪質商法、個人を厳罰化 特商法改正し処分逃れ抑止へ朝日新聞

 経済産業省は、悪質な訪問販売や電話勧誘を取り締まる特定商取引法を改正し、罰則を強化する方針を決めた。あわせて同法の規制対象を広げる検討も進める。業務停止命令など同法に基づく行政処分は法人が対象で、処分を受けた悪質商法の業者が別会社で同じような違法な営業を繰り返すケースが相次いでいる。このため、個人を対象にした厳罰化で、処分の「すり抜け」を防ぐ狙いがある。

 同省などによると、特商法違反で処分や指導を受けた業者の社員が別会社を立ち上げたり、移籍したりして同様の営業を続け、再び処分を受けたケースが昨年以降、少なくとも7件あった。

 今年5月に特商法で最も重い12カ月の業務停止を命じられた札幌市の会社の社長の場合、93年以降、会社を次々設立するなどして少なくとも5社の名を使い、北海道の行政指導や同省の処分を繰り返し受けた。

 国や自治体の業務停止命令は法人が対象で、処分された会社の代表者や社員が別の法人を立ち上げても規制できない。また、都道府県の処分の効力は他県に及ばず、別の地域に移って営業を続ける例もあるといい、行政処分だけではいたちごっこになっている。

 現行の特商法にも行政処分とは別に、個人に対する罰則があり、事実と異なる説明をして勧誘したり、業務停止命令に従わなかったりすれば、2年以下の懲役または300万円以下の罰金となっている。しかし、罰則が比較的軽いことなどから、実際には警察などの摘発例は限られ、行政処分だけで対応しているケースが多い。

 そこで、同省はこれを5年以下の懲役または1000万円以下の罰金に引き上げる方向で検討。法務省など関係省庁と協議を始めた。来年の通常国会での改正法案提出を目指す。

 このほか、悪質商法の業者には、実際の勧誘などをほかの業者に委託する例があり、昨年度に同省が業務停止命令をした25件のうち10件が該当。電子メールを使った通信販売も規制対象だが、勧誘メールの送信を別業者に委託するケースも目立つという。

 特商法の取り締まりは物品やサービスの販売業者に限られ、委託を受けた外部の業者は対象外。同省は法改正で、こうした「第三者」を処分できるようにするなど規制対象に加える検討をする。

http://www.asahi.com/life/update/0609/TKY200706090229.html